[本文]

国・地域名:
ロシア
元記事の言語:
英語
公開機関:
ロシア大統領府
元記事公開日:
2018/02/08
抄訳記事公開日:
2018/06/08

ロシアの研究力強化に関するプーチン大統領の発言

Meeting of the Council for Science and Education

本文:

ロシア大統領府の2018年2月8日付標記発表では、このほどノボシビルスクで開催された科学・教育評議会会合の議事録が掲載されている。プーチン大統領は同会合の冒頭でロシアの研究力強化のための今後の方策について述べたところ、発言の骨子は以下のとおり。

●科学の発展と国の役割

・科学におけるブレークスルーを達成しなければならない。研究活動の組織化に当たっては、非効率的な支援や、旧式で時代遅れの方法を断固やめるべきである。
・国による支援を提供する場合に重要な原則は、結果が実用的かつ具体的であること、そして国際的に競争力のある製品や画期的技術が創出されることである。
・デジタル経済プログラムの実行に際しては、研究と企業の協力が重要な条件である。最先端の解決策を利用して、国家機関および社会施設の活動を質的に新しいレベルで組織化し、人工知能システムの開発や活用において主導的地位を確保する必要がある。

●増加する研究投資

・知的・科学的潜在能力の蓄積があれば、ロシアで大規模なゲノム研究を実施することは可能である。関連するプログラムを短期間で策定し、強力な研究チームの編成、最先端のインフラ構築、そして人材育成を支援する仕組みを検討してもらいたい。
・過去17年間の実質ベースでは、科学への投資は3.7倍伸びている。また民生用研究のみ見れば、その額は23.6倍になった。投資の多くは大学や研究インフラの発展に当てられ、ほとんどの主要大学では5年未満の新しい設備の割合が65%~85%を占めている。

●今後注力すべき3つの方向性

・「メガサイエンス」クラスの施設を含む研究インフラの継続的拡大が必要不可欠である。「メガサイエンス」プロジェクトは現在、ガッチナ、ドゥブナ、トロイツク、ニジニ・ノブゴロド、そしてここノボシビルスクの6か所で進行中である。このようなインフラが主要な研究プログラムを実施するための基盤を形成し、ユーラシア圏全体の研究協力の拠点になるはずである。
・有能な若手研究者の支援・育成に継続して焦点をあてる必要がある。優れた成績を示したものは誰でもロシアで研究キャリアを築き、大型研究プロジェクトを実行し、自らの研究活動計画を長期的展望を持って設計できる機会を与えられるべきである。
・諸外国との協力を拡充し、ロシアの科学をより開かれたものにしていく必要がある。高い効果が示されているメガグラント・プログラム(国内外から優秀な研究者を誘致するためにロシア政府が助成する大規模な公募型の国際研究支援制度)は継続すべきである。同プログラムは、ロシアの研究所に優れた研究者を指導者として誘致するだけでなく、ロシアにおいて強力な国際研究チームを形成することにも貢献している。

プーチン大統領は本会合の最後において、ロシア科学の国際競争力に関連して発言したところ、概要は以下のとおり。

国際協力は、ロシアの科学がグローバルな科学プロセスの中で役割を果たすもので、極めて重要である。しかし国際協力そのものが目標ではない。国際協力がさらなる人材の流出につながるような状況はつくるべきでない。逆に、こうした国際協力をロシアに研究者がやって来るための呼び水として機能させる必要がある。

[DW編集局]