[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国王立協会
元記事公開日:
2018/02/06
抄訳記事公開日:
2018/06/18

王立協会による報告書「英国研究インフラの概要」

A snapshot of UK research infrastructures

本文:

王立協会の2018年2月6日付標記記事の概要は以下のとおり。

王立協会の最近の報告書「英国研究インフラの概要」では、135の研究インフラからのオンラインや電話による大々的な調査結果から得られた新たなデータを活用し、英国の世界トップクラスの研究インフラの、膨大で、ダイナミック、そして高度に学際的な現状を可能な限り明確に映し出している。

研究インフラは研究コミュニティが研究を実施しイノベーションを推進するために用いる施設、資源、サービスであるが、それらは大規模な施設や専門設備からe-インフラ・ネットワーク、ライブラリ、収集物に至るまで、多様な形態や規模のものがある。スコットランド北部からコーンウォール地方に至る英国全土に見られ、物理的にまたはバーチャルに、単一の場所または英国内外の複数の拠点にまたがって分布している。

● 国際協力

研究インフラは国際協力にとってハブの役割を果たす。その多くは一つの国の枠を超えて利用可能なリソースを必要とする。インフラへの投資価値を最大にするには、広範囲の優秀な研究者(本拠地がどこかに関係なく)にそれら施設を利用可能とすることが必要になる。研究インフラを通しての相互のやり取りから、新たなプロジェクトや共同研究が生まれる可能性もある。

本報告書では、調査対象の研究インフラの69%がその規模において国際的インフラの範囲に入ると述べており、77%が一つ以上の国際パートナーシップのメンバーになっていると答えている。利用者は世界全域に及び、本報告書における研究インフラ利用者の26%はEU/EEA国(英国を除く)の出身者で、18%がその他の国の出身者であった。英国の研究インフラのスタッフの32%が海外出身者であるが、23%が英国以外のEU/EEA諸国出身で、9%がその他の国の出身である。

● 分野・部門間にまたがる研究業務

調査対象の各研究インフラは研究基盤全体にわたって各学問分野と合致しているとされているが、実際にはそれらは高度に学際的な組織であり、64%が自らの研究活動には複数分野が関与しているとしている。これは多くの場合、各研究インフラが分野横断的な技術、装置、収集物を利用できるようにしているという理由による。

研究インフラはまた産業界にも大きく関与しており、84%が自らの研究ポートフォリオに商業化の要素が含まれると報告し、93%が研究の一部を英国企業と直接共同で実行していると述べている。

● ファンディング

研究インフラ向けのファンディングは高等教育機関のそれほど安定したものではなく、短期(3年~5年)の委託金または助成金で運用されているものがある。研究インフラは各研究会議、大学・研究機関、企業、ライセンス、慈善団体、個人の寄付金、EUなど、多様な資金源からのファンディングを受けている。

報告書の調査対象インフラのうち、84%が現在または以前にEUの資金源からのファンディングを受けており、31%がそれを不可欠と述べ、46%がインフラの運用にとって重要と言っている。EUは主として「研究インフラに関する欧州戦略フォーラム(ESFRI)」を通じて、研究インフラのライフサイクルのうち計画段階で中心的な役割を果たしている。

● UKRIロードマップ

研究インフラは大学または他の大規模研究所に比べると目立たない存在かもしれないが、英国にとって戦略的に価値のある資産である。本報告書は研究の現状におけるこの不可欠な部分の実態を最大限に示してはいるが、網羅的ではない。幸いにUKRIが英国の「研究・イノベーション・ロードマップ」に向けた作業プログラムを開始する。

[DW編集局]