[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2018/06/06
抄訳記事公開日:
2018/07/12

連邦研究・イノベーション報告書2018

Deutschland forscht sich an die Weltspitze

本文:

連邦閣議が「連邦研究・イノベーション報告書2018」を承認。これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

ドイツの研究・イノベーション力は国際的にトップクラスである。輸出する研究集約的製品の世界市場占有率が安定して高いことからも明らかである。国際イノベーションランキングにおいてドイツは長年にわたってトップに位置している。これらは6月6日に閣議決定された「連邦研究イノベーション報告2018」から明らかになった。

カルリチェクBMBF大臣は「連邦政府と産業界の共同の取り組みにより国際競争力を確固たるものにすることができた。ドイツは世界のイノベーション・リーダーの一員である。しかし国際間の競争は激しくなっている。今後は特に応用研究を促進し、中国や米国に遅れをとらないよう欧州における協力も必要である。現在、新たな研究イノベーション戦略を策定中である」と語り、新戦略の重要なポイントは教育政策と科学技術イノベーション政策を併せて考えることである。また「教育とリカレント教育は新しい技術やビジネスモデルを理解し、応用して、生涯にわたり利用していくための鍵となる。特にデジタル化によって、労働や社会を変化させるものである」と語った。

政府と産業界はここ数年継続的に研究開発支出を増額してきている。2016年には記録的数値の922億ユーロとなっている。そのうち2/3あまりが産業界により支出されたもので、約630億ユーロと最高値となっている。連邦政府による研究開発支出は156億ユーロとなった。2005年は90億ユーロであり、2016年時点で成長率は70%以上となっている。

ドイツの人口100万人当たりの世界特許の数は2015年は371件と米国(200件)および中国(27件)を大きくリードしている。しかし定量的な成果の上にあぐらをかいているわけにはいかない。米国は、FacebookやGoogleの例が示す通り、デジタル領域における起業でより多くの成果を挙げている。中国では中央政府が管理する産業政策によって特定の技術に対して強力な助成策が講じられている。カルリチェク大臣は「すぐれた研究開発政策を基盤として独自の競争力を確保することが戦略的に重要であり、これにより未来への成功へのレールを敷くことができる」と語った。

目標は、ドイツ経済のダイナミズムを維持し、全ての市民が強力で革新的なイノベーションを享受できるようにすることである。

そのため研究開発の中心に人間が置かれることを常に明確にしておかなければならない。病気が効率的かつ速やかに治ること、使い勝手がよく環境に優しい車や、コミュニケーションが安価で安全に提供されることである。技術と社会の急激な進歩に遅れをとらないよう、対応する能力を同時に教育する必要がある。学校教育や職業訓練でのデジタル・メディアの活用を始めとして、プログラミング知識やITに対する理解がますます求められる。

連邦政府は総研究開発費対GDP比の目標を3.5%とすることに同意した。この目標は産業界と共同で2025年までに達成されねばならない。研究開発費の税制控除の導入はこれに寄与するものである。

[DW編集局]