[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2018/06/11
抄訳記事公開日:
2018/08/16

NASEMがFAAのドローンに対する過度に慎重な安全リスクアセスメント手法の変更を提言

FAA Should Change Its Safety Risk Assessment Approach for Drones to Effectively Integrate Them Into the Nation’s Airspace

本文:

6月11日付けの全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記記事の概要は以下のとおりである。

NASEMは議会から委託を受けた最新の報告書において、業務にドローンを導入することで、列車脱線の防止、携帯電話中継局の検査、心疾患患者への医療機器の配送、消防士の支援など、社会に大きな便益がもたらされると述べている。しかし、米国連邦航空局(FAA)の過度に慎重な安全性についてのリスクアセスメント手法は、様々なドローン運用によるリスクの重大性や可能性を過大評価する傾向があり、ドローンの導入と展開にとって重大な障壁となる可能性があると報告している。

安全上の便益をもたらす可能性のあるドローンに対して、FAAは永年に亘って有人飛行用に開発された(リスク許容度がゼロに近いエビデンスを要求する)安全リスクアセスメント手法を用いており、空域でのドローン飛行の妨げとなっていた。このため、FAAはドローンの潜在的便益とリスクの間でバランスをとる方向にシフトし、リスクと便益の全体像を明らかにすべきであると報告書は述べている。

同報告書は、FAAに対して、小さなドローンについて一般市民が許容できそうなリスクの閾値を把握するように促し、車での移動や海での遊泳等の一般に許容されている他のリスクと同じレベルで、ドローンの潜在的リスクの閾値を設定するように求めている。これにより、現行のFAA規制を超えて、多くの無人航空機(UAS)にとって適切な安全基準を確立しうる。また、FAAは質的・主観的なリスク分析から脱却し、現在のリスクアセスメント手法を改善するように求めている。

さらに、同報告書は、FAAに対し今後12ヶ月以内に予測可能で再現性があり定量的なリスク管理を実施するためのガイドラインを策定し公表するよう求めている。また、FAA管理者が6か月以内にリスクアセスメントを再検討するように勧告している。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]