[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
元記事公開日:
2018/07/04
抄訳記事公開日:
2018/08/30

オープン・サイエンスに関する国家計画:すべての人に開放される科学研究の成果

Le Plan national pour la science ouverte : les résultats de la recherche scientifique ouverts à tous, sans entrave, sans délai, sans paiement

本文:

7月4日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

フレデリック・ヴィダルMESRI大臣が7月4日に発表したオープン・サイエンス国家計画では、資金支援を受けたプロジェクト研究に由来する発表論文やデータについてオープンアクセスを義務付けている。オープン・サイエンス委員会を設置し、発表論文やデータに関する組織化に向けた主要なイニシアティブを支援する。

● オープン・サイエンスとは
・オープン・サイエンスでは、発表論文や研究データの何ら制約のない流通を図る。
・公的資金の支援を受けた研究を、閉鎖的なデータベースの制約された枠組の外に出すことを目標とする。これによって科学的資料の収集、作成、移転、再利用における重複した努力を軽減し、研究の効率性を高める。
・オープン・サイエンスでは、科学が、より累積的で、データによってより強く裏付けられ、より透明性が高く、より迅速で、普遍的にアクセス可能なエコシステムを構築することを目指す。
・オープン・サイエンスは科学的進歩、イノベーション、そして社会的経済的発展を促進する。
・オープン・サイエンスは科学的整合性を保持する手段であり、市民の科学に対する信頼を強化する。

● オープン・サイエンス国家計画
・国家計画ではフランスにおけるオープン・サイエンスの発展に資する条件を設定する。3つの主軸がある。
・フランスの科学発表論文の100%のオープンアクセス達成を狙う。
・この計画で、フランスは野心的なオープン・サイエンス政策をとる。これは、70カ国が関与するイニシアチブで公的施策の透明性を高めることを目指したOGP(Open Government Partnership)の下での国際的な取り組みと完全に一致するものである。
・この国家計画はまた、「オープン・サイエンスに関するアムステルダム行動要請」に対する欧州の目標にも合致している。つまりフランスはEUの取り組みを延長・拡大する方針である。

● オープン・サイエンス国家計画における3つの主軸
① 発表論文へのオープン・アクセスを一般化する
-公的資金入札により資金支援を受けた研究に由来する論文や著書をオープン・アクセスにより発表する。
-オープン・サイエンス向けの基金を創設する。
-国立オープン・アーカイブHALを支援し、世界の他のプラットフォームにオープンアクセスで公開する研究者の申告手続きを簡素化する。

② 研究データを構造化してオープン化する
-公的資金によるプロジェクト公募で資金支援を受けたプログラムに由来する研究データのオープンな配布を義務付ける。
-各施設内にデータ管理者機能と関連ネットワークを創設する。
-条件を設定することで、研究者によって発表される論文に関連するオープンデータ・ポリシーの採用を促進する。

③ 欧州および世界における持続可能な活動に参画する
-特に博士課程大学院においてオープン・サイエンスに関するスキルを育成する。
-研究実施機関にオープン・サイエンス政策採用の義務を負わせる。
-「欧州オープン・サイエンス・クラウド(EOSC)」において、また”GO FAIR”への参加によって、欧州での組織化に積極的に貢献する。

[DW編集局+JSTパリ事務所]