[本文]

国名:
米国
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2018/10/18
抄訳記事公開日:
2018/12/19
元記事の言語:
英語

AAAS科学外交センターが10周年を迎える

AAAS Center for Science Diplomacy Looks to its Past and Future, a Decade on

本文:

10月18日付の米国科学振興協会(AAAS)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

AAAS科学外交センターは2018年に10周年を迎え、設立当時の世界的な不況と政治的緊張の中にあって、そのような困難に科学とイノベーションにより立ち向かうべきとの認識の下、センターが設立されたことを振り返っている。

AAASのプレジデントであり、全米医学アカデミーの国際担当役員でもあるマーガレット・ハンブルグは、科学外交センターの第4回科学外交年次会議の出席者に対し、世界が今直面している新旧の課題には科学外交の適用が必要であり、センターの役割はこれまで以上に重要になると述べた。

9月14日にAAAS本部で開催されたこのイベント(科学外交2018)には、丸一日の講演、パネルディスカッション、人的ネットワークの機会、ポスターセッションのために、科学外交分野の科学者、エンジニア、政策立案者、教育者、学生が集まった。

ハンブルグは次のように述べている。
「ナショナリズムが高まり、国境管理を強化し、他国との協力を縮小し、注意深く発展させてきた公式および非公式のパートナーシップを断ち切ろうという呼びかけが米国やその他の多くの国々に見られる状況の中に我々はいる。このような環境において、我々は、科学自体に対する疑念の高まり、科学の役割を無視し、科学的な専門能力と意思決定における証拠の価値を否定しようとする動きを目撃している。科学の重要性、すなわち気候変動、テロ、食料や水の不足といったグローバルな問題に取り組む上で科学が果たしていくべき役割の必要性を考えれば、そのような疑念は厄介なものであり、また、そのような脅威には国境がない。」

この科学外交会議では、そのようなトレンドを取り上げ、抗生物質耐性、海洋保護区、一連の移民や健康の問題に取り組む上での科学外交の有用性に関するセッションを開くとともに、来る2019AAAS年次会議のためにハンブルグが選んだテーマ、「越境する科学」と同調するものとなった。

「我々が本気でグローバルな課題にグローバルな規模で立ち向かおうとするならば、グローバルな科学の力を導入しなければならない。」とアラン・レシュナーは述べた。レシュナーは、2001年から2015年までAAASのCEOを務めた。

科学をグローバルに適用するという理念が、レシュナーの任期中の2008年にセンターの設立を実現した。AAASはそれまで数十年間に亘って科学外交に関わってきていたが、財政危機とイラク戦争の只中において、米国はグローバルな問題を解決するために科学を最大限に活用していないという感覚があったと、レシュナーは述べている。

AAASの現在のCEOであるラッシュ・ホルトは、会議での演説において、グローバルな政策に影響を与える科学の重要性を強調した。「実際、我々は、科学と外交という2つの言葉を結び付けた先駆けの一員であった。」と述べた。

2008年7月にレシュナーが米下院の研究科学教育小委員会で行った国際科学協力に関する証言の中で、センター設立が正式に発表された。「センターは、国際的な理解と繁栄を促進するために科学と科学協力を活用しようという最重要な目標によって導かれる予定である。」と述べている。

その時以来、センターはグローバルな協力の新しい分野を確立し、育成してきたと述べるとともに、具体的にはAAASがキューバの科学コミュニティと行った努力に言及した。2009年、AAASの代表は、両国間の潜在的な協力について意見交換するために米国からキューバに派遣された代表団に加わった。AAASとセンターは、その後もキューバ科学アカデミーとの追加的な協働を追求してきた。例えば、一つの取組みでは交換プログラムを生み出し、その第1号の奨学金によりキューバの神経科学者が6か月間米国の研究室に滞在した。

センターは、科学と外交に関する訓練と教育の取組みの最前線に立ってきた。センターは、2014年以来世界科学アカデミーと連携して科学外交に関する一連のコースを設置するとともに、ワシントンD.C.において独自のワークショップを開催し、科学外交に関するオンラインのコースを提供し、科学外交教育ネットワーク(SciDipEd)を立ち上げた。センターは、また、2012年創刊の「科学と外交」誌を通して、科学外交の実践者や研究者が科学の諸分野と科学外交との接点を探求するための場を設けた。

科学外交2018の機会に、AAASと米州地球変動研究所の間で、グローバルな環境の変化やそれらが人間の幸福に与えるインパクトに関する科学政策とコミュニケーションに加えて、科学外交における協力関係を発展させるための覚書が署名された。これは、AAASが今年実現した、いくつもの連携の中の一つである。

そのような進展の中にあって、行うべき仕事がまだ多く残されていると、ホルトは述べている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]