[本文]

国・地域名:
ロシア
元記事の言語:
英語
公開機関:
ロシア大統領府
元記事公開日:
2018/11/27
抄訳記事公開日:
2019/01/28

科学・教育評議会会合におけるプーチン大統領演説

Meeting of Council for Science and Education

本文:

2018年11月27日付ロシア大統領府の標記発表によると、プーチン大統領は標記会合で演説し、概略以下のように述べている。

科学・教育評議会は要となっており、特に重要なのは、それが今や政府、大学、学界全体の代表者間の対話のための作業プラットフォームとなっていることである。

このようなオープンで現実的な意思の疎通により、科学技術開発戦略のような複雑で基本的な文書の作成・採択や、大学の研究や高度研究インフラの推進、学術分野の再編成に有望な方法の特定が可能となった。

近年、我々は最先端の研究所を創設し、メガグラント・プログラムを実施し、有能な若手研究者向けの支援システムを立ち上げた。言い換えれば、若い、それも非常に若い研究者のために新しい機会を開いた。これら研究者は、他のすべての研究者と同様に、我が国の技術的リーダーシップと、世界の科学的プロセスにおける他の国と対等な立場での参加を確たるものにするために、我々が今日設定した複雑で野心的な目標を達成する上で重要な役割を果たすことに関心を抱いている。

知識、技術、能力、人的資源は、国家プロジェクトを実施し、戦略目標を達成するための基盤である。我々は、全く新しい生活の質、自己実現の機会について話しているが、それはすなわち、将来の世界における社会、経済、国家の一般的な競争力に関することである。

世界クラスのロシア製品を製造し、強力な技術と生産拠点を作り、輸送インフラをグレードアップし、新しい建設技術を導入し、製薬業界の主要分野での独立性を高めるなど環境と医療の現状を改善し、自国の種子や畜産資源の強さなど食糧安全保障を強化するため、画期的な発見と開発が必要である。

ロシアの研究所、大学、高等教育機関は、国のプロジェクトや開発プログラムを実施し、複雑な研究、技術、生産の問題に取り組むための専門的な人材を育成するために、全面的な科学的・知的支援を我々に提供する必要がある。政府には、科学・高等教育省その他の省庁や各地域当局の取り組みについて、直接的な協力と調整を確保するよう要求している。このメカニズムの迅速な展開・導入を期待する。

科学、技術、教育は国のプロジェクトやプログラムを通じて実行される必要がある。特別の独立した「科学」国家プロジェクトの枠組みの中で、集中した形で実施される。今後6年間に、この国家プロジェクトの実施に3,000億ルーブル以上が割り当てられ、その結果、全資金源からの合計金額は6,350億ルーブルに達した。このリソースをどのように管理するかは、我々にとって決定的に重要である。

画期的かつ有望な研究に従事する研究者や技術者の強力なチームを支援する必要がある。助成金による支援メカニズムはこの原則に基づいており、国際的に一流の専門家が参加する主要な科学プロジェクトを立ち上げるために活用されている。

しかし、その有効性について言えば、助成金は、完全な意味での学術環境・大学環境におけるシステム全体の変革の触媒にはなっていない。科学研究に割り当てられた資金のほとんどは、通常の政府調達の一部として引き続き配布されている。実際に過剰な金額のファンディング受けているのは研究機関であり、より正確には、それらの機関の管理費となっている。これは重要なことであり、着目してほしい。

資金支援しなければならないのは、管理費ではなく、国家、経済、市民の利益のために実施される生きた研究である。しかし、今我々がやっていることは、国家のニーズを明確にすることなく国が資金を放出している状況であり、そのことはしばしば非常に野心的であり、基盤的な性質のものである。実際、このような目標の策定にあたって、適切な省庁は除外されている。

研究室は研究分野を自ら特定する。それ自体は一見悪いことではない。我々はそのようなプロジェクトの資金支援のための助成金制度を用意している。この助成金制度の中で、研究者は取り組むべき対象とその方法について自ら決定する。政府は財政的・行政的支援のみを行う。しかし残念なことに、数十年間延々と同じ種類の研究を示すべき成果もなく行っている研究機関の例が多数ある。若い有望な専門家は、これらの「研究」チームをまもなく離れるか、あるいは興味を失い精神的に崩壊すると思う。

昨年は、学術機関の研究テーマの40%が、引用の基盤となる研究論文を1つも作成していない。つまり、成果が全くないのか、あるいは誰も関心を示さないということである。

特定の技術や新しい設備を発注する代わりに、関係機関が分析レポートや予測を発注する。もちろん、これも必要である。しかし、進行中の研究プロジェクトから成果を得る代わりに、オープンアクセス雑誌から入手可能なプレゼンテーションやテーブルという別のパッケージを得ている。もちろん、この作業も必要であるが、なぜそれを研究と表現するのか? そして、それに400億ルーブルも投資する価値があるのか?

2014年に政府の発注を合理化するよう指示を出したが、その結果多数の発注が入札によって割り当てられるようになった。この制度は大学に適用されているが、それがなぜ研究施設で使われていないのか理解できない。また、研究施設には3つのカテゴリーがある。第1カテゴリーの研究施設は第3カテゴリーの施設と同種のファンディングを受けている。では、なぜカテゴリー別に分けたのか?

我々のすべての取り組みを科学技術開発戦略の国家目標と優先事項に対応する分野に集中させ、測定可能な目標と結果に対する説明責任を持つ主要な研究プログラムの仕組みを活用する必要がある。このプログラム的アプローチにより、研究機関や大学、政府と民間企業、個々の研究室や科学者に関して、重複を排除し、明確な目標を設定することが可能となる。もちろん、現在形成されている研究・教育センターの潜在能力を、ロシアの空間的、知的、技術的発展のための資源として十分に活用しなければならない。

我々は決して科学を批判するつもりはない。しかし、膨大な資金が国家や社会に還元され、最終的には科学そのものが発展することを確保する必要がある。
・第1に、研究開発に関する国家的課題を提示し、研究プロジェクトのテーマを選択し、それを主導するリーダーのための統一的資格基準を策定するための手順に関して、すべての省庁に統一された要件を設定する必要がある。
・第2に、ロシア基礎研究基金とロシア科学基金の経験を活用して、研究の全段階で成果に対する透明かつ客観的な専門家による評価プロセスを構築し、明確な評価基準を策定する必要がある。
・第3に、我々は、研究機関にある機器の少なくとも半分を置き換えるという任務を設定した。そのためには、どの機器が実際にブレークスルーのために利用できるのか、またそれを用いてどの目標とタスクを解決したいのかを明確に理解する必要がある。メガサイエンス施設を含むロシアの研究インフラが世界最高のものになることが非常に重要である。
・第4は、政府資金で行われた民間研究の成果を公表することを含めて、科学をよりオープンにする必要がある。それが研究者の責任感を高め、ロシアの科学を普及させ、イノベーションや教育サービスの輸出を促進する。

[DW編集局]