[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立衛生研究所(NIH)
元記事公開日:
2018/11/28
抄訳記事公開日:
2019/02/08

NIHが中国人研究者による初めてのゲノム編集ベビーの発表に関して声明を発表

Statement on Claim of First Gene-Edited Babies by Chinese Researcher

本文:

11月28日付の国立衛生研究所(NIH)による標記声明の概要は以下のとおりである。

NIHは、香港で開催された第2回ヒトゲノム編集国際サミットにおいて賀建奎博士が発表した研究に関して深く憂慮している。同氏は、CCR5遺伝子を無力化するためにCRISPR-Cas9をヒト胚に利用する彼の取組みについて説明した。2つの胚が続けて移植され、双子が誕生したと彼は主張している。今回の行為は、賀博士と彼のチームの、国際的な倫理規範を無視するという、極めて不穏な意図を示している。今回のプロジェクトは大体において秘密裏に行われており、今回の赤子におけるCCR5の不活性化の医学的必要性は全く説得力がなく、インフォームド・コンセントの手続きには大いに疑問があり、オフターゲット効果による被害の可能性は十分に調査されていない。この強力な技術のヒト生殖系列への初めての明らかな適用が、これほど無責任に行われたことは、極めて不幸なことである。現在香港で議論されている、この種の研究に制限を設けることに関する、拘束力のある国際合意を形成することの必要性は、これまでになく明白となっている。そのような制限がなければ、今回と同様に無分別で非倫理的なプロジェクトが続出する深刻なリスクに世界は直面するであろう。今回のようなとんでもない科学的な災難が進んでいけば、公衆の正当な怒り、恐怖、嫌悪によって、疾病の予防や治療に大きな可能性を有するこの技術は、暗雲に覆われてしまうであろう。

疑念がないように言っておけば、以前にも述べたとおり、NIHはヒト胚におけるゲノム編集技術の利用については支援しない。

フランシス・コリンズ
NIH所長

[DW編集局+JSTワシントン事務所]