[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2019/01/01
抄訳記事公開日:
2019/03/08

KONTAKT:素粒子物理学への市民参加プロジェクト

KONTAKT: Teilchenphysik zum Mitmachen

本文:

どのようにして市民の物理学への関心を喚起するのか、あるいは市民を研究へ取りこんでいくことができるのか。ドイツ連邦教育研究省(BMBF)が助成するKONTAKTプロジェクトによって、研究者が市民参加のための新たな仕組みを開発、実証する。

過去120年に科学者たちは素粒子物理学において、飛躍的な進歩を達成した。インターネットやソーシャル・メディアに特徴付けられる現代の情報化時代において、一般大衆とのコミュニケーションがかつてないほど重要なものとなっている。特にLCH(Large Hadron-Collider)が稼働を開始し、研究者がヒッグス粒子を発見するに及び、メディアや社会の関心が高まった。またニュートリノに関する研究結果やクオークのエキゾチックな束縛状態も好奇心を呼んでいる。目的を定めた、理解しやすいコミュニケーションは、こうした小さい素粒子がわれわれの世界にどのような影響を与えるのかを説明するのに役立つ。

市民参加への新たな仕組み

BMBFはそこでKONTAKTプロジェクト(コミュニケーション、後継者獲得、および一般大衆の素粒子分野の知識への参加)を助成することとし、2019年1月から総額130万ユーロを支援する。KONTAKTは新フレームワークプログラム「宇宙と物質の研究ErUM」の中心的アイデアを取り上げ、特にSTEM後継者の育成、技術移転および市民参加のテーマを取り入れて、実行に移そうとするものである。国内30に及ぶ大学や研究機関の研究者がこの全国的な計画に参加する。目標は、素粒子研究の知識を一般に分かりやすく広め、新たなコミュニケーションのチャネルや参加の機会を開発し、実証することである。

商店街における素粒子物理学

対象は特に学生、若手研究者、そして市民とジャーナリストである。プロジェクト参加者は、既存の有効なプログラムを拡大させ、新たな専門分野を広げようとしている。例えばLHCに関するニュースを一般市民のために提供する、インターネット・プラットフォーム「ワールドマシン」(Weltmaschine)や「素粒子世界ネットワーク」(Netzwerk Teilchenwelt)が挙げられる。CERN、IceCube-Detekor、Pierre Auger-Observatorium等のリアルな研究データを利用することができる。「データははモバイルで提供され、ドイツ全国の学校や教育機関、大きな大学都市から離れたところでも行われる」とKONTAKTのプロジェクトリーダーで、コーベル(Prof. Michael Kobel)ドレスデン工科大学素粒子物理学教授は語った。

市民向けに素粒子物理学を分かりやすく、遊び感覚で理解できるよう、KONTAKTプロジェクトにおけるワールドマシンのチームがインタラクティブな展示モデルを開発する。将来、研究者と共にドイツ中を展示訪問する。「このモジュールは一般に広められだろう。市場でも、商店街でも各人が様々なゲームを試み、加速器からのリアル・データを利用できるようにする」とDESY(ドイツ電子シンクロトロン)のムニッヒ(Joachim Mnich)素粒子宇宙粒子物理研ディレクターは語っている。

専門家の密接なネットワーク化

その他、バーチャルリアリティ・システム、若者向け家庭用パソコンベースの研究プログラム、および研究者用メディアトレーニング、報道関係者向けのプロモーション等がある。プロジェクト参加者は、あらゆる関係の専門家との密接なネットワーク化を求め、また若手研究者の獲得やび素粒子物理学の知識への市民参加を強化したいと願っている。

[DW編集局]