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国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2019/01/16
抄訳記事公開日:
2019/03/20

DARPAが検証可能なデータ保証を可能とする新しい計算アーキテクチャを探索

DARPA Explores New Computing Architectures to Deliver Verifiable Data Assurances

本文:

1月16日付の国防高等研究計画局(DARPA)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

個人情報であれ、機密情報であれ、あるいは国家安全保障上の機微情報であれ、システムの所有者やユーザーは情報の所在場所やシステム間の移動についてほとんど保証されていない。例えば、電話で情報を伝えるとき、そのデータが電話にとどまるのか、あるいはその向こうにあるサーバーにアップロードされるのか、検証可能な方法で追跡することは困難である。国防・国家安全保障コミュニティにおいても同様に、機微情報が適切に隔離されていることが保証されているかについては、特にインターネットに接続されたシステムにロードされたとき、選択肢はほとんどない。

システムをあらゆる情報転送手段から完全に遮断するのは現実的でない。近代的な計算システムは、セキュリティの要求度が異なるものも含め他のシステムと通信できる必要がある。今日、民生および国防の組織は、最も機微な計算装置や情報を安全に保つために、一連のエアギャップ(システム間の物理的遮断)をしばしば活用している。しかし、そのようなエアギャップを持ったシステムには事後的にインタフェースが加えられ、過度に複雑になり、それらの実装や運転がシステムのオペレータの不当な負担となっている。

情報とシステム間の通信を追跡できる、安全で検証可能な方法を提供する、拡張性のあるソリューションを創出するため、DARPAは「物理的セキュリティのための保証されたアーキテクチャ」(Guaranteed Architecture for Physical Security, GAPS)プログラムを立ち上げた。GAPSの目標は、ハイリスクな処理や異なるセキュリティ・レベルのシステム間を移動する情報に対して、物理的に証明可能な保証を与えられるハードウェア・ソフトウェアのアーキテクチャを開発することである。このプログラムが意図する成果は、設計時にデータ隔離の要件を定義することを可能とするハードとソフトの同時設計ツールと、システム稼働時に物理的に確保できる防護である。

GAPSは次の3つの研究分野に取り組む。

  • ハードウェア部品とインタフェースの創造
  • ソフトウェア同時設計ツールの開発
  • 部品やツールの統合と、国防総省の代表的なシステムでの実証。

創出される技術の商業化もプログラムの目的である。GAPSで生み出される実証可能なセキュリティ特性は、機密情報や消費者のプライバシーを守ることができる安全な民生システムの実現にも役立つかもしれない。

GAPSは、将来の国内、政府および国防の電子システムのために5年間以上にわたり15億ドルを投資する、DARPAの「エレクトロニクス再興イニシアチブ」(Electronics Resurgence Initiative, ERI)の第2段階の一部である。その第2段階において、DARPAはセキュリティやプライバシーを保護できるエレクトロニクスを含む、信頼できる電子部品を開発している。GAPSは、より頑健、セキュアで高度に自動化されたエレクトロニクス産業を生み出すというERIの幅広いミッションの前進を助けると同時に、保証されたエレクトロニクスに対する国防総省特有の要求への取り組みを支援する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]