[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会 システム・イノベーション研究所(ISI)
元記事公開日:
2013/12/05
抄訳記事公開日:
2013/12/20

イノベーション指標2013: 国際イノベーション・ランキング第6位

Innovationsindikator 2013: Deutschland festigt seine Position im internationalen Innovationsranking

本文:

このほど「イノベーション指標2013」が発表された。フラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(ISI)はこれに関して概略以下のような報道発表を行った。

イノベーション指標は、毎年ドイツテレコム財団とドイツ産業連盟(BDI)が発表するレポートで、フラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(ISI)、欧州経済研究センター(ZEW)、国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所(MERIT)が調査分析を担当する。

ドイツの強さと弱さがどこにあるかを、重要な競争相手国や新興工業国との比較において明らかにする調査で、イノベーション力の分析に重要な指標、すなわち経済、科学、教育、国家、社会に焦点を当て、合計38の個別指標について評価する。

イノベーション指標2013によると、ドイツのイノベーション力はこの一年、安定している。先進28ヶ国との国際比較において、ドイツは前年と同じく6位で、上位の国々との差を縮小している。経済と科学は強いが、教育の領域については改善の余地がある。

この指標の国際イノベーション・ランキングで、大きな差をつけてトップを走るのがスイスとシンガポールである。それにベルギー、オランダ、スウェーデンが続き、そしてドイツという順位になる。

同指標は、ドイツのイノベーションを支えるものとして、とりわけ経済と科学の領域を挙げている。ISI所長ヴァイセンベルガー・アイブル教授は「ドイツが世界で最も革新的な国に肩を並べているのは、強い経済力だけによるものではない。それ以上に科学と研究が大きく貢献し、イノベーションのための豊かな土壌を造っている。ドイツは幸いなことに両分野においてさらなる改善を遂げており、これが将来のイノベーション力に寄与するだろう」と語った。

ドイツ経済は前年と比べてさらに改善している。その理由の一つは確実に連邦政府の科学技術基本政策「ハイテク戦略」であり、イノベーション戦略として計画的に実績を上げている。一方で将来のイノベーションのために国の抜本的な改革が必要であると指摘し、イノベーション政策における連邦と州のより強い協力を求めている。

科学分野でドイツは11位から8位にランクをあげている。ISIのプロジェクトリーダー、フリーチュ博士は「高いイノベーション力を長期にわたり維持するには、さらに一歩踏み込んだ改革が必要である。優秀な頭脳集団を囲い込み、投資の効果を上げるためには、科学界の優れた若手人材に明確なキャリア展望を与えなければならない」と強調した。

しかし、ドイツの教育システムに低い評価を与えている。教育支出に関して17位から15位へとランクアップしているとはいえ、これで十分とは言えず、テレコム財団のキンケル博士は次のように断定している。「これまで、イノベーション力の強化にとって連邦制が大きな足かせになっている。ドイツ基本法の『教育における連邦と州の協力禁止』条項を排除することができれば、教育分野での大改革の端緒になるであろう。この点で新連立政権が現在計画している改革案では、歴史的なチャンスを逃し、単なる対処療法を繰り返しかねない」。
イノベーション指標2013:
http://www.innovationsindikator.de/total.html

[DW編集局]