[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2014/04/17
抄訳記事公開日:
2014/06/05

NSTC報告書:光学・フォトニクスに関する早期行動委員会 

FAST-TRACK ACTION COMMITTEE ON OPTICS AND PHOTONICS

本文:

国家科学技術会議(NSTC)科学委員会は先ごろ「光学・フォトニクスで明るい未来を構築する」と副題のついた標記文書を公表した。その概要、特に本文書に盛られた提言の要点を以下に記す。

光学およびフォトニクスは通信、コンピューティング、製造、医療、エネルギー、国防、農業、その他多くの領域での応用が可能な実用化技術である。この分野での進歩には、経済成長、農業生産性の向上、新産業創出や高いスキルを必要とする新たな雇用の創出、エクサフロップス級の能力を備えるコンピューティングやニューロフォトニクスなどの新しい応用に必要な技術の提供を促進する潜在能力がある。したがって米国の光学・フォトニクス研究開発の状況を調査して研究に有利な条件を特定し優先順位をつけることに学界、産業界、政府の関心が高まっている。

物理科学小委員会(PSSC)は上記目的に沿って2013年春に「光学・フォトニクスに関する早期行動委員会」(FTAC-OP)の設置を認めた。これは2013年に発表された全米研究会議(NRC)の報告「光学・フォトニクス: 国家にとって不可欠な技術」に応えたものである。PSSCがFTAC-OPに対して特に要求しているのは、連邦政府の投資に有利な条件を特定し光学・フォトニクスにおける基礎研究および早期応用研究での機関間協力を確認することである。

FTAC-OPは政府、学界、産業界の本主題関連の専門家のほか主要学協会の代表を招いて状況の説明を受けた。これら状況説明を基にFTAC-OPは優先順位をつけた一連の提言を展開した。この提言は2つのカテゴリーで構成されている。研究の好機および(研究)実行能力に望ましい条件の2つである。第1のカテゴリーはFTAC-OPの目標に直接言及しているが、第2のカテゴリーは光学・フォトニクス研究における発見やイノベーションを制約する研究関連実行能力における欠点に言及している。提言は以下のとおり。

[研究の好機]

A1) システム生物学と病気の進行の理解を促進するバイオフォトニクス
革新的なバイオフォトニクスの基礎研究を支援することで、定量的画像化、システム生物学・医学・神経科学、医療の診断・予防・治療を進化させるバイオマーカーの生体内検証、より効率的な農業生産の促進を可能にする。

A2) ほのかなフォトニクスから一塊のフォトニクスまで
最微小光のレベルで動作する光学・フォトニクス技術を開発する。

A3) 複雑媒体を経由する画像処理
散乱、分散、乱流の媒体を経由する光伝播と画像処理の科学の進展を図る。

A4) 超低出力ナノ・オプトエレクトロニクス
情報処理・通信に応用可能な低エネルギー、アト(10の-18乗)ジュールレベルの光素子の限界を探る。

[研究実行能力に望ましい条件]

B1) 研究者の製造施設利用
学界研究者や中小企業イノベータが、複合統合型の光・電子素子の研究、開発、製造、組み立てを推進する目的で、国内の受け入れ可能な製造施設利用の必要性を見極める。

B2) 新奇性のあるフォトニクス
学術界、国立研究機関、産業界が持ち合わせる新奇性の高い考え方で、光源、検出器、その他の関連光学機器をコンパクトでユーザフレンドリーなものにする研究開発を推進する。

B3) 貴重な光学材料は国内産
赤外材料、非線形材料、低次元材料、設計材料など全米の研究プログラムにとって貴重な光学・フォトニクス材料を開発し利用可能にする。

[DW編集局]