[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
報道センター
元記事公開日:
2014/11/17
抄訳記事公開日:
2015/01/20

EU助成の研究事業で新抗生物質を発見

EU-funded researchers discover a completely new antibiotic

本文:

欧州委員会は、2014年11月17日に標題の記事を発表した。以下にその概要を紹介する。
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薬剤耐性との戦いに役立つ全く新しい抗生物質がEU助成のNABATIVIプロジェクトで発見された。それは、世界有数の製薬会社の協力のもとに現在治験中である。

こうした研究投資は、数十年間治療可能だった一般的な感染症や小さな傷が再び死の危険性を持ち、世界全体で抗生物質耐性に対する早急で協調的な行動をとる必要性があるため、非常に重要である。EU内だけで、薬剤耐性菌感染症による死者数は毎年約2万5,000人に及ぶ。

解決方法の一つは、耐性予防のために抗生物質の使用を慎重にしていくことであり、これは今年11月18日の「欧州抗生物質啓発デー」(European Antibiotic Awareness Day)の焦点である。

●共同研究による成果:
EUは研究分野の投資に貢献しており、有望な新薬POL7080の研究からスタートしたNABATIVIプロジェクトは成果を挙げている。プロジェクトパートナーであるスイス企業Polyphorは、かねてより最も危険な感染症を引き起こす緑膿菌の抗生物質としてPOL7080に見込みを立てていた。緑膿菌は、病院、膿疱性線維症患者や免疫の弱った人々の間でよく発見されている。

NABATIVIのおかげで、PolyphorはPOL7080に必要な臨床前試験とフェーズ1臨床試験を完了させることができ、2013年3月に患者に対する安全性が確認された。

2013年11月にPolyphorは、大手製薬会社Rocheとの間で世界的ライセンス契約を結び、本薬剤のフェーズ2臨床試験を実施することとなった。Rocheとの連携は、とても重要なステップだった。なぜなら、製薬産業は過去30年の間にたった2種類の抗生物質しか市場に出してこなかったからだ。

また、NABATIVIプロジェクトのパートナーと大学6校・中小企業3社によって、緑膿菌と他の菌の5,000の遺伝子が調査され、多くの他の目標物質と薬剤が特定された。

NABATIVIプロジェクトの成功にとって、EU助成の共同アプローチは非常に重要だった。本プロジェクトは、今後の抗生物質の開発のモデルケースとなりうるだろう。つまり、大学と中小企業が初期の研究開発の段階を実施し、長期にわたる困難な費用のかかる試験と行政上の承認を得るための有望な候補が特定された段階では、大規模投資家が参入して実施するというものである。

<関連リンク>
NABATIVI project
http://www.nabativi.org/

[DW編集局]