[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2015/04/08
抄訳記事公開日:
2015/06/01

アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は100年耐用のソフトウェアシステムの構築を模索

DARPA Seeks to Create Software Systems That Could Last 100 Years

本文:

4月8日付けの国防高等研究計画局(DARPA)による発表記事の概要は以下のとおりである。

近年のソフトウェアシステムで益々複雑性と処理能力が増して行くのは避けられない。ユーザーは製品に対して不満を抱きながらも陳腐化を避ける為の定期的なアップデート並びにアップグレードに慣らされてきた。米軍の場合、良好に機能するソフトウェアシステムとその基礎となるコンテンツは国家安全保障のためには不可欠であるが、しかしながら、アップデートは民間ユーザーと比べて問題になる事は少なく無く、しばしば相当な時間と費用を必要とする。そこで、DARPAは本日、ソフトウェアシステム及びデータが100年を超えて頑丈で機能し続けるために必要な計算及びアルゴリズム上の基本要件について検討する、野心的な4年間の研究プロジェクトを立ち上げると発表した。

資源適応性ソフトウェアシステムの構築Building Resource Adaptive Software System (BRASS) 計画では、依存する資源並びに作動環境の変化に柔軟に適応する、寿命の長いソフトウェアシステムの設計と実装の、基礎的な前進の実現を求める。その様な前進には、プログラム変換を発見及び特定する為の新たな言語の抽象化、形式手法及び資源意識の高いプログラム分析、更に周囲のデジタルエコシステムの変化をモニターするために設計された諸システムの開発が必要となる。この様なプログラムはソフトウェア復元力、信頼性並びに保全性の著しい改善につながる事が期待されている。

DARPAプログラムマネジャーのSuresh Jagannathan氏は言う「技術は必然的に進化するが、しかし多くの場合それらに付随するソフトウェアエコシステムのライブラリー、データフォーマット、通信規約(プロトコル)、入力特性、コンポーネントのモデルの変化はアプリの動作を弱体化させる。途切れなく新動作環境に適応する事が出来ない事は、生産性を低下させ、サイバー・セキュリティのインフラ開発を阻害し、コンテンツを作り出して読み取るソフトウェアが陳腐化するに従い重要なデジタルコンテンツへのアクセスが失われるという長期のリスクを高める」。

既存のアプリは、複数の異なる抽象化レイヤーより構成されるソフトウェアスタックで実行し、種々のサービスとストラクチャーを提供している。これらのレイヤーへのアクセスは、異なる種類のインターフェースを通して媒介され、そしてそれらは全て通常二次資料 (secondary documentation) としてアプリのプログラムインターフェースと共に提供されている。通常この資料(documentation)は非形式に定義されるのでシステム全体としての理解が部分的で不完全となり、相当な手動労力と推理力が必要となる。

Jagannathan氏は言う「絶えず変化し続ける作動環境に直面ながら、アプリケーションが継続して正確に且つ効率的に機能し続ける事を確保するのは大変な課題である。これらの変化に適切に対処できなければ結果として技術的に劣った潜在的に脆弱なシステムとなってしまう。同様に懸念されるのは、アプリケーションの変換と再構築を実行する自動アップグレード化の仕組みの欠如は、ソフトウェア維持管理費の高騰並びに機能的に健全なソフトウェアの早期陳腐化をもたらす事である。

BRASSは、ソフトウェアの設計、構成及び適応について全く新しい白紙からの姿勢での取り組みが必要との前提である。この手法は演算処理とそれに使用される資源の関係を正確に捉えて新しい種類のスペック、プログラム分析及び形式手法の表現と発見、そして又、アプリに対する大規模なプログララマーの関与を必要としない変化への対応を可能とするアルゴリズムの変換を可能とする事を目標とする。

Jagannathan氏によると、BRASSは全て一般にハイレベルな機能性を維持しながら、各種資源のセットに対して最適化された異なる実装のプログラム群の構築に繋がる可能性が考えられ、コスト削減の機会を顕在化させる。

BRASSについての詳細はBroad Agency Announcement (http://1.usa.gov/1almvsw (http://1.usa.gov/1almvsw)を参照。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]