[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2015/11/04
抄訳記事公開日:
2016/01/21

中国初の大型逆磁場ピンチ式(RFP)磁場閉じ込め核融合実験装置の稼動

中国大型实验装置“科大一环”实现常态运行

本文:

2015年11月4日付の「中国科学報」ネット版は、中国の大型実験装置「科大一環」が通常運用に入ったと報じた。本記事ではその概要をまとめる。

中国初の大型逆磁場ピンチ式(RFP)磁場閉じ込め核融合実験装置「科大一環」が通常運用に入った。同装置の最大プラズマ電流は180kAで、2分毎の放電を得られた。

逆磁場ピンチ式磁場閉じ込め核融合実験装置「KedaToruseXperiment」(KTX、略称「科大一環」)は、「国家磁場閉じ込め方式核融合エネルギー発展研究特別プロジェクト」が支援する大型装置建設プロジェクトである。

プロジェクトディレクターである劉万東教授によると、逆磁場ピンチ式磁場閉じ込めは、現在世界で人気がある「人工太陽」――「ITER」(国際熱核融合実験炉)、中国科学院の「EAST」(超伝導電磁石トカマク型核融合エネルギー実験炉)と同じタイプの実験装置である。将来のエネルギー問題の解決を目指す同装置は、「ITER」、「EAST」より簡単に操作でき、操作性に優れている。

急速加熱でき、保温効果を有する同装置は、大半径1.4メートル、小半径0.4メートル、磁場が7,000ガウス、プラズマ電流が1テラアンペア、電子温度が600万度、放電時間が100ミリ秒に至った。本体は直径8メートル、高さ6メートル、総重量が70トンを超えた。

アメリカのMST,欧州のRFX-Mod,Extrap-T2R,日本のRELAXといった同様の装置を有する機関からも、科大一環との国際協力による連携が表明されている。

「科大一環」は中国が独自にデザイン・研究開発した逆磁場ピンチ式装置である。同装置の竣工は、世界中のプラズマ物理研究に従事する科学研究者に、斬新な大型実験プラットフォームを提供し、中国の磁場閉じ込め核融合領域におけるハイレベル人材の育成、磁場閉じ込め核融合に関する研究の更なる推進が期待される。

[JST北京事務所]