[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2022/06/13
抄訳記事公開日:
2022/06/30

米英政府がプライバシー強化技術に関するチャレンジ公募を推進

U.S. and UK governments collaborate on prize challenges to accelerate development and adoption of privacy-enhancing technologies

本文:

(2022年6月13日付、大統領府による標記発表は以下のとおり)

国連の推定によると、毎年最大2兆ドルの国境を越えるマネーロンダリングが行われ、組織犯罪の資金源となり、経済的繁栄が損なわれている。

金融機関同士の情報共有や共同分析を強化すれば、こうした活動の検知に変革をもたらす可能性があるものの、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の調査によると、機密情報の共同分析に伴う法的、技術的、および倫理的課題により、そうした検知が妨げられている。プライバシー強化技術(PET)は、これらの金融犯罪に対処する上で改革的な役割を果たす可能性がある。

米英政府は、PETの成熟を促進することに焦点を当てたチャレンジ公募を開発中である。英国のロンドン技術週間中に開催された「グローバル・リーダーズ・イノベーション・サミット」において、デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)のメディア・データ・デジタルインフラ大臣であるジュリア・ロペスは、PETを利用して、個人のプライバシーと機密情報を保護しながら、機密データから洞察を引き出せるようにすることにより、COVID-19のパンデミックから人身売買に至るまでの世界的課題に取り組む方法について概説した。

PETには、組織間で協調して、データを安全な環境に置いたまま機械学習を行う、連合学習などの成熟途上の技術が含まれる。こうした技術は、個人のプライバシーを侵害したり、機関間または国境を越えてデータを転送したりすることなく、疑わしいタイプの行動を特定することができるため、プライバシーに配慮した財務情報の共有や分析を促進する上で有用である。

米英のチャレンジ公募を通じて、イノベーターたちは、これらの技術の幅広い使用に対する障壁に取り組むのに役立つ、プライバシー保護の最先端の連合学習ソリューションを開発する。政府間会合である金融活動作業部会(FATF)の調査によると、これらの技術の利用による規制への影響に関する不確実性が、技術導入に際しての大きな障壁となっている。そのため、チャレンジ公募の一環として、イノベーターたちが、英国の金融行動監視機構(FCA)や情報コミッショナーオフィス(ICO)、米国の金融犯罪捜査網(FinCEN)などの規制当局と連携できるようにする。

PETのチャレンジ公募に関する米英の協力関係は、2021年12月の民主主義サミットで初めて発表され、それ以降、大統領府科学技術政策局(OSTP)、米国国立標準技術研究所(NIST)、米国国立科学財団(NSF)は、英国のデータ倫理・イノベーションセンター、およびInnovate UKと協力して取り組みを進めてきた。本チャレンジは、今夏、大西洋両岸に存するイノベーターに公開され、また同チャレンジのソリューションは、2023年初頭にバイデン大統領によって招集される第2回民主主義サミットで紹介される。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]