[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2023/03/08
抄訳記事公開日:
2023/03/29

NSF、マクロからミクロまでの材料構造の解明を目指す研究インフラへの投資

NSF announces infrastructure investment to enable understanding of material structure at scales from macroscopic to atomic

本文:

(2023年3月8日付、国立科学財団(National Science Foundation:NSF)の標記発表の概要は以下のとおり)

NSFは、アリゾナ州立大学が建設するコンパクトX線自由電子レーザー(Compact X-ray Free-Electron Laser:CXFEL) 施設に対して、「中規模研究インフラ2(Mid-scale Research Infrastructure-2)」[編集局注:NSFが投資する研究インフラのうち、費用が2,000万~1億ドルの規模のプロジェクトを支援するプログラム]の資金提供として9,080万ドルの支援を発表した。この投資は、革新的な研究に関わる最先端の科学・工学研究インフラに対するNSFの継続的な支援の一環である。

この投資は、物質の内部構造を原子レベルで研究できる機器の導入を支援するものである。超高速の光子ビームによって、植物の光合成、DNA修復、タンパク質の機能など、多様な生物学的プロセスのダイナミクス探る。また、このユニークな一連の探索によって、エネルギーの生産と貯蔵に革命をもたらす新型超伝導体や量子コンピューターなどの画期的な技術につながる可能性のある量子材料の微細な物理学的測定も行える。

CXFELは、数キロメートルの加速器を使用する従来のX線自由電子レーザー設備とは異なり、約10メートルのビームラインを備えた研究室スケールの設備である。生成されるX線は、アト秒(10-18秒)という非常に高速な時間間隔で同期された波とパルス持続時間を備えた明るく調節可能な光であり、研究者はさまざまな種類のX線を用いて、複雑な材料における原子間相互作用と分子運動を詳細に調べることができる。この高度な設計は、NSFの「科学技術センター(Science and Technology Center)」での取り組みを含め、共同研究者達の長年の努力の成果である。

NSFは数十年もの間、科学と工学を進歩させる研究インフラに投資してきた。中規模研究インフラ2の助成は、科学的なメリットがあり、規模が控えめでも大きなインパクトを及ぼすような科学的または社会的な問題に対処するプロジェクトを支援しており、設備、ネットワーク、機器、データセット、スタッフなどの中規模研究インフラをサポートする。過去を見れば、EPSCoR(Established Program to Stimulate Competitive Research、競争研究を刺激する確立されたプログラム)に該当するプロジェクトも含めて幅広い地域の研究機関を助成しており、女性、キャリア初期の研究者、過小評価されてきたマイノリティ、そして障害者を含む多様な支援対象者の実績があることがわかる。

[DW編集局]