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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 首相府
- 元記事公開日:
- 2025/07/16
- 抄訳記事公開日:
- 2025/07/18
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438億ユーロの支出減へ 2026年政府予算、債務圧縮に本腰
Dette et hausse de la production : les annonces de François Bayrou
- 本文:
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フランスのバイルー首相は15日、2026年の政府一般会計支出を実質的に438億ユーロ削減する方針を明らかにした。25年の当初予算(約5,824億ユーロ)の約7.5%にあたる額を削ることになる。政府はこの支出減により、24年には5.8%あった財政赤字のGDP(国内総生産)比率を4.6%にまで下げ、膨らみ続ける債務の圧縮に本腰を入れたい考えだ。
政府によると、累積債務は既に3兆3,000億ユーロを超えており、今年の債務の対GDP比は116.2%(前年は113.2%)に到達。このペースが続けば、GDP比は27年に120.7%、29年には125.3%にまで膨らむ可能性がある、としている。
バイルー首相はこの日、「債務圧縮」(Stop à la dette !)と「生産向上」(En avant la production !)の2種類の計画を発表。このうち「債務圧縮計画」については、▽支出の優先順位付け(削減目標208億ユーロ)、▽2026年の各種手当や年金などの水準の据え置き(同71億ユーロ)、▽納税や医療費支払いなどの不正取り締まり(同99億ユーロ)――の3種類の柱を立て、計368億ユーロの歳出削減を図る。
一方「生産向上計画」については、▽労働力、▽硬直化した公的手続きの負担軽減と簡素化、▽競争力、▽集中投資――の4領域で目標を立てている。これによって国全体の生産力を高めて税収増を図り、実質的な歳出削減とする。このうち「労働力」の領域については「祝日を年2日削減」などが挙げられている。「競争力」の領域については「原子力発電所の耐用期限を50年から60年に延長」「水力発電への再投資を年末までに実施」「企業株に対して9億ユーロを追加的に投資」などを明記。さらに「集中投資」として「重点投融資計画『フランス2030』の投資は主にAIやサイバー分野に優先させる」ことなどを示している。
政府によると、これらの計画を遂行できても、債務の対GDP比は27年に118.1%まで膨らむものの、同年をピークに縮小傾向に転じ、29年に117.2%になるとしている。バイルー首相は「フランスでは毎秒5,000ユーロのペースで借金が増えている。崖の上で踏みとどまるもはや最後のポイントだ。これから数年間、国民のみなさん一人ひとりが努力することが必要だ。しかもそれは均等に求められる」と訴えた。
政府は9月頃には予算案を国会審議にかけるとみられ、審議が例年通りに進めば、12月下旬に国会で可決・成立し、来年1月から予算執行が始まることとなる。
[DW編集局]