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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- イノベーション審議会(EFI)
- 元記事公開日:
- 2025/06/24
- 抄訳記事公開日:
- 2025/07/23
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研究・イノベーション政策の加速と省庁再編による戦略的重点領域の強化
Keine Zeit verlieren in der Forschungs- und Innovationspolitik
- 本文:
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(2025年6月24日付、イノベーション審議会(EFI)の標記発表の概要は以下のとおり)
EFIは、ドイツ経済の停滞と国際競争力の低下を深刻に捉え、研究・イノベーション政策の抜本的改革と迅速な実行を求めている。省庁再編や新たな政策措置により、主要技術分野への重点投資と、官民連携によるイノベーション・エコシステムの強化を図り、経済構造の転換を促すことが不可欠であると指摘している。
研究・イノベーション政策に関する構想は、財源の裏付けなくしては実現しない。従来の約220億ユーロ規模の研究予算では、新たな課題領域や優先分野に十分に対応できない。
計画中のハイテク・アジェンダでは、主要技術分野に重点が置かれている。連立協定によれば、人工知能(AI)、量子技術、マイクロエレクトロニクス、バイオテクノロジー、核融合、気候中立のエネルギー供給およびモビリティがその対象である。ドイツにおけるこれらの主要技術分野の地位を研究・イノベーション施策によって高めることは、将来の価値創造を促進し、技術的主権を強化するために不可欠である。
こうした重点領域に加え、研究・イノベーション政策の下で対応すべき課題や優先事項として、以下の点が挙げられる。
新たな生産技術の強化:生産技術や材料技術は連立協定の優先分野には含まれていないが、特に循環経済や重要原材料の代替という観点から、戦略的重要性を有する。気候中立なエネルギー供給やモビリティは、いずれも技術分野ではなく応用領域であり、戦略的研究分野として着実に推進する必要がある。
省庁間連携の拡充:デジタル省の創設は、ガバナンスの新たな構造とプロセスを構築する機会と捉えるべきである。
研究者キャリアの選択を早期かつ的確に行う:科学時間契約法の改正は、研究者キャリアの早期決断を可能とするものである。EFIは、大学の中間層における常勤ポストの整備の必要性を認識している。また、連邦と州での科学政策では構造的な協働が必要である。連邦と州の間で進められているエクセレンス戦略は、第2期助成期間終了後に包括的な評価が実施され、2035年に共同科学会議(GWK)に報告される予定である。
連立協定に示された研究・イノベーション政策は、ドイツ経済の構造的課題を克服する力を持つ。EFIは、これらがドイツ経済の脆弱性を解消するための重要な起点となることを、改めて指摘している。
このようにして、ドイツ企業は、景気後退から脱し、技術開発の最前線において再び主導的な地位を確立することができる。
[DW編集局]