[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相府国家防衛安全総務庁(SGDSN)
元記事公開日:
2025/07/14
抄訳記事公開日:
2025/08/08

LPRは「維持・強化される」? SGDSNが見通しに言及

Revue nationale stratégique 2025

本文:

 国の安全保障の司令塔の役割を担う首相府国家防衛安全総務庁(SGDSN)は7月14日、安全保障上の政策文書「国家戦略レビュー2025」を発表した。このなかで、研究開発への中長期の継続的な投資を重視しながら財政難から見直しが心配されている「複数年研究計画法」(LPR)(2021~30年)について、「維持され、強化されるだろう」との見通しを示した。SGDSNはLPRの直接の所管庁ではなく、実際の今後の予算案にどのように影響するかは未知数だが、LPRが国家安全保障の観点からも高く評価されていることになり、秋にも発表されるとみられる来年の政府予算案が注目される。

 この文書は、安全保障上の課題認識と当面の方針を明らかにする目的で毎年発表され、特定の国との関係や地政学的なリスクなど、様々な切り口からの考察がなされている。

 このなかに科学技術についてのパラグラフがあり、LPRについて「戦略的な技術を発展させるため」に重要であり、科学研究の卓越性を高めるうえでの「最良の手段だ」とも言及した。また「LPRがあるからこそ、テーマ別の研究支援や高リスクの研究支援、さらには(大半をLPRとは別の予算枠で措置する)優先研究プログラム(PEPR)も含めたプログラム運営ができるのだ」とも評価している。

 また今回のレビューは、国の安全保障上の観点から重視すべき戦略目標として、下記の11項目を掲げた。

➀堅牢で信頼性のある核抑止力
➁国全体でまとまり、リスクにも立ち向かえる備えをすること
➂戦争勃発に備えた経済体制
➃有事の際にも一級レベルの復旧力を持つサイバーセキュリティ
➄欧州や大西洋地域における信頼ある同盟国としてのフランスの地位
➅欧州の戦略的自発性を引き出すエンジンの一つとしてのフランスの地位
➆信頼ある主権のパートナーであり、信用あるセキュリティの提供者としてのフランス
➇自律的な判断と確固たる主権
➈ハイブリッドな領域で行動できる能力
➉軍事行動で決断をできる能力
⑪フランス自身と欧州の主権確保に役立つ科学技術の卓越性

[DW編集局]