[本文]
-
- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- コレクティーフJDCIR
- 元記事公開日:
- 2025/07/11
- 抄訳記事公開日:
- 2025/08/15
-
若手博士の雇用支援廃止が民間R&Dとディープテックに及ぼす影響
Etude d’impact de la suppression du dispositif Jeune Docteur : Une analyse exploratoire
- 本文:
-
(2025年7月11日付、コレクティーフJDCIRの標記記事の概要は、以下のとおり)
コレクティーフJDCIR(全国博士協会(Association Nationale des Docteurs)が創設メンバーとして加わっている)は7月11日、研究費税額控除制度(CIR)における「若手博士号取得者向け制度(JD-CIR制度)」の廃止が、科学技術分野の雇用、企業の研究開発戦略、官民連携、およびディープテック・スタートアップの技術革新能力に及ぼす影響を分析した調査報告を発表した。
この報告書は、2025年5月および6月に実施されたアンケート調査(回答484件:博士課程在籍者・取得者56.6%、企業37.7%、投資家8.3%。企業のうち62%がスタートアップ)にもとづき、破壊的イノベーションに資する戦略的な税制措置の唐突な撤廃がもたらす影響を明らかにしている。
調査結果では、以下のような実態が示された:
▽JD-CIR廃止により博士号取得者の採用計画を見直した企業:81.6%
▽廃止前には2025年中に1~2名の研究人材を採用予定だった企業:57.7%
▽博士号取得者以外での代替が困難とした企業:約80%
▽JD-CIR廃止後も博士人材の契約を解除しない企業:69.3%
▽制度廃止がイノベーション能力の低下に繋がると考える企業:81.6%
▽廃止がフランスのディープテック・スタートアップの競争力低下に繋がると回答した企業:80.2%博士課程在籍者・取得者に関しては、回答者全体の56.6%(274名)を占めており、そのうち60.6%がJD-CIR制度における「若手博士」資格の適用対象であり、30.7%が実際に同制度の下で雇用された経験を有していた。
制度の評価をめぐる議論では、JD-CIR制度の廃止に反対する意見が多数を占める一方、制度の税務上の悪用や研究との乖離を理由に、見直しを支持する声も一部に存在した。
それぞれの立場から寄せられた主な意見以下の通り:
▽若手研究者からは、不安定な雇用環境のさらなる悪化、キャリア継続の困難、制度的支援の欠如といった個人的体験を通じた訴えが多く寄せられた。
▽雇用主は、資金調達の場面、財務基盤が脆弱な局面、そしてディープテック・プロジェクトの構築段階において、JD-CIR制度が果たすインセンティブ機能の重要性を強調した。
▽分析者・研究者は、公共政策の一貫性が欠如していること、産業戦略がないこと、フランスの民間部門における研究文化が脆弱であることなど、構造的課題を指摘している。JD-CIR制度に関する核心的な論点として以下が浮上している:
▽スタートアップの初期資金調達前の段階における不可欠な支援策であったこと
▽大企業と中小企業を区別なく扱う制度設計に欠陥があること
▽個人の実体験にもとづく証言を重視していること
▽低コストで政策効率が高い制度であること制度に関する提案としては、以下が示されている:
▽中小企業に限定し、期間を限定した制度を再設計すること
▽博士号や修士号など人材の資格に応じて税控除率を差別化すること
▽現在進行中の契約に対する経過措置やセーフガード条項を導入することこの調査報告では、JD-CIR制度の廃止がもたらす負の影響について明確なコンセンサスが確認された。とりわけ、雇用機会、研究開発活動、官民連携の見通しが軒並み悪化しており、制度廃止は、イノベーション分野に対する信頼を損ない、学術界と民間部門の間の競争を激化させる恐れがあると懸念されている。このため制度の復活、または少なくとも中小企業等を対象とした部分的な再導入、あるいは破壊的イノベーションに注力する組織に対する補償的な政策措置の導入が強く求められている。
[DW編集局]