[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2025/07/21
抄訳記事公開日:
2025/08/26

ドイツにおける電子的身元確認機能(eID)の利用実態と普及促進に向けた課題分析

Geringe Nutzung der elektronischen Ausweisfunktion (eID)

本文:

(2025年7月21日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)

学際的研究により、ドイツにおける身分証明書の電子的身元確認機能(eID)の有効化率が明らかにされ、その改善に向けた提言が発表された。

ここで明らかになったのは次の点である。
▽デジタルによる身元確認:ドイツでは電子的身元確認機能(eID)の利用はあまり進んでいない。ドイツ語を話す成人のうち、この機能を有効化しているのは35%にとどまり、6%はその存在すら知らない。

◇結論:eIDの低い普及率は、連邦政府の政治的目標に反している。
◇提言:利用率の低い層に焦点を当てた対策が求められる。

eIDは、市民に安全なデジタル身元確認を提供するため、2010年に導入された。2011年からは電子的滞在許可証にも搭載されている。しかし、この機能を有効にするには煩雑な手続きが必要であり、市民は役所に出向かなければならない。他のEU加盟国では、自動的に有効化される(例:エストニア、ベルギー)か、銀行口座と連携している(例:スウェーデン、フィンランド)場合が多い。

調査では、どのような層がeIDを有効化しているかも明らかになった。利用率が高いのは、男性、若年層、都市部居住者、大学入学資格(アビトゥーア)取得者、移民背景を持つドイツ人、外国籍住民である。職業別では、法律関係者や行政職が目立つ。州別ではベルリンが54%で最高、次いでハンブルクが40%である。

eIDの低普及率は、連邦政府の政治目標に反するだけでなく、電子的身元確認が中核的要素となっている欧州電子的身元確認・認証および信頼サービス規則(EU規則910/2014)の実現にも支障をきたす。同規則は、企業と利用者の間で円滑かつ途切れのない電子的手続きや情報交換を可能にすることを目的としているが、ドイツでは有効化率が低いため、企業はサービスにeIDを組み込む動機を持ちにくく、利用者は対応サービスが少ないため有効化の必要性を感じにくい。このため、利用者と企業の双方が相手の動きを待つ形となる悪循環が生じる恐れがある。

提言書の著者は、女性や高齢者など有効化率の低い層への重点的アプローチ、利用者に配慮したデジタルサービス開発への市民参加促進、そして何よりeID有効化における制度的・手続き的障壁の解消を求めている。

[DW編集局]