[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
科学技術会議(CST)
元記事公開日:
2025/08/18
抄訳記事公開日:
2025/09/16

英国における戦略的AIチップ設計産業の創出に関する科学技術会議の助言

Council for Science and Technology advocates for UK sovereign AI chip design industry

本文:

(2025年8月18日付、科学技術会議(Council for Science and Technology:CST)による標記報告書の概要は以下のとおり)

英国の半導体産業はニッチかつ高度に専門化されているため、幅広く総合的なアプローチをとると、現在のトップランナーに追いつくことはまず不可能である。英国に経済的利益をもたらすには、政府は半導体産業の中でも最も大きな成長が見込まれ、英国が戦略的優位性を獲得できる分野に対する投資と活動に重点を置く必要がある。

今後10年間、世界のチップ業界で最も急速に成長する分野はAIチップ製品(アクセラレータ、メモリ、グラフィックス処理装置(GPU)、中央処理装置(CPU)、相互接続、パッケージング)になるというコンセンサスが高まっている。AIチップの世界市場は、現在から2030年まで毎年約30%の成長が見込まれており、その時点でAIチップは世界の半導体収益の50%以上を占めることになる。

幸いなことに、適切な投資と能力があれば、英国は有意義なAIチップ設計産業を創出できる可能性がある。大学にはAIと設計に関する優れた専門能力と創造性があり、AI企業のエコシステムも成長を続けている。さらに、高度研究・発明機構(ARIA)のScaling Computeプログラムは、英国で初めて、革新的な垂直AIシステムの創出可能性を秘めた人材とアイデアを発掘し、結集させている。

しかし、そのためには、AIチップ人材の育成を含め、適切な基盤を整えるための政府の大胆な取り組みが必要となる。これは、世界最大の市場の一つに収益性の高いAIチップ設計産業を構築するという、英国にとって20年に一度の好機であると考えられる。

CSTの提言は、英国がこれを達成するために構築する必要があるスキル(提言1・2)、資金と投資(提言3・4)、インフラ能力(提言5・6)を網羅している。

提言1:DSITと教育省(DfE)は、2030年までに英国の労働力における新たなチップ設計者の数を増加させる必要がある。
提言2:DSITとDfEは、特にオプトエレクトロニクス研究センター(ORC)を通じて、オプトエレクトロニクスのトレーニングとスキルへの投資を拡大する方法を検討する必要がある。
提言3:DSITと国防省(MOD)は、英国の半導体業界に対し、どの領域での活動が最も有益であるかという強いシグナルを送るため、半導体に関する明確な戦略目標を設定する必要がある。
提言4:政府は英国のAIチップ産業の成長を支援するため、イノベーション・パイプライン全体を通じて投資を調整する必要がある。
提言5:DSITは、中小のチップ企業や学術機関に対し、手頃な価格でタイムリーに英国の半導体インフラ施設へのアクセスを提供できるようにする必要がある。
提言6:DSITとビジネス・通商省(DBT)は、英国のスタートアップ企業が求める最先端技術への英国のアクセスを確保する方策を探索すべきである。

[DW編集局]