[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2017/04/24
抄訳記事公開日:
2017/06/19

世界は新しい作物を必要としている

Moderne Pflanzen braucht die Welt

本文:

連邦教育研究省(BMBF)は「未来の作物」と題する新たなイニシアチブをスタートさせるとこととなり、これに関して概略下記のような報道発表を行った。

新助成プログラム「未来の作物」は、困難な条件下でも安定した収穫が得られ、最適な成分を含むよう改良された作物を作ることである。そのための手段は先進の栽培方法であって、短期間で、持続的な収穫を可能にし、低コストで、極めて安全とされるものでなければならない。BMBFはこのイニシアチブに対し、2年間に600万ユーロを投入する。同プログラムはBMBFの「国家研究戦略 バイオ・エコノミー2030」の一環である。

ヴァンカBMBF大臣談:「世界的に増大する人口を養うため、農業が直面する重要課題はますます大きくなっている。従来目指してきたより多くの収穫を上げるだけでなく、特にやせて、乾燥した、塩分を含む土壌でも成長し、しかも確実な収穫を可能にする丈夫な作物が必要である」。

新しく品種改良された作物は害虫に対し抵抗力を有しながら、成長に必要な肥料も少なくてすむものでなければならない。同時に栽培作物の多様性を総合的に保持、拡大するために、それぞれの地域に適応している旧来の作物などを脅かさず、種の多様性を維持できるものであることが必要である。また食用作物と並び、再生可能資源およびバイオベースの資源に対し増大する需要も作物栽培研究の焦点となっている。これに伴い農家が更なる収入源を開拓できるだけでなく、最終消費者および産業界もこうした開発の恩恵が期待できる。即ち、時代に即した新しい栽培方法によって、特長ある多くのバイオ製品であるバイオプラスチックや、断熱、防音材が市場に送り出されるだろう。

BMBFは「未来の作物」イニシアチブによって、作物栽培研究領域に関する未来技術を振興する。それらは「ゲノム編集」という概念で総括される。焦点となるのは、CRISPR/Cas方式である。旧来の栽培法では、品種改良された新しい作物が生まれるまで、場合により10年から15年かかった。CRISPR/Cas方式を利用することによって開発を大きく加速させるだけでなく、その高い精度で安全安全性を担保でき、副作用を最小限にすることができる。この革新的な方式は大きな科学的な開発ポテンシャルをもたらし、小規模企業および大学研究機関にとっても有用なものである。

ヴァンカ大臣は「旧来の栽培方法では数世代かかったものが、今日ではCRISPR/Casのような新しい技術により迅速に、目標に合わせて多くのことを達成することができる。それだけに、この革命的な新しい方法を更に発展させて研究することが重要となる。ドイツは植物研究において100年以上も前から世界をリードしている。この事実は科学拠点ドイツにとっても、また同じくグローバルな農業にとっても重要である」と語った。

[DW編集局]