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デイリーウォッチャー
国名:
米国
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2017/07/28
抄訳記事公開日:
2017/08/31
元記事の言語:
英語

上院はNASA、NSFの予算を削減、下院はミニバス法案を可決

This Week in Appropriations: Senate Trims NASA, NSF, While House Gets On the Minibus

本文:

7月28日付、米国科学振興協会(AAAS)の標記記事の概要は次のとおりである。

今週、下院は最初の歳出法案を決定した。いわゆるミニバスであり、4つの歳出措置(軍事、エネルギー、その他)を一緒にしたものである。一方、上院は米国航空宇宙局(NASA)、国立科学財団(NSF)、商務省(DOC)、運輸省(MOT)を包括した2つの法案を決定した。これらすべての予算において、議会はトランプ政権が求めた大幅な予算削減を拒否し続けている。

下院上層部は2018年予算決議案に対し、9月には票を投じたいと考えている。予算決議案は通常、議会の歳出予算の輪郭となるものである。今月下院予算委員会により承認された予算決議案は、税と社会保障の大幅改革を目指しているが、同時に非軍事裁量予算を削って、軍事裁量予算の大幅な増加も勧告している。

下院の予算委員会は2018年度予算では、非軍事予算を今年より75億ドル減とし、軍事予算については、現行より710億ドル大幅増加を勧告している。この軍事・非軍事の予算の分裂は少なくとも今後10年以上続くと思われる。科学技術予算は裁量予算になるため、これは問題である。

下院の予算は共和党員を分裂させたが、予算委員会の案は(下院予算法案はこれと一致する)上院を通過する可能性は少ない。というのも、上院では予算上限額を変更するためには60の賛成票が必要となるからである。

下院:安全保障「ミニバス」法案が軍事、エネルギー、退役軍人予算と共に決定
2日間にわたる予算修正の後、下院は安全保障「ミニバス」法案、つまり「アメリカを安全にする予算法案(Make America Secure Appropriations Act)」を可決した。この法案の中の科学技術プログラムは、エネルギー省、国防省、退役軍人省にわたっているが、ホワイトハウスが提示した予算要求よりははるかに良いものになっている。しかし、まだ多くのプログラムで削減が予定されている。

エネルギー関連で修正されたのは次のとおりである。
・ホワイトハウスと下院により削減が予定されていた2つのエネルギー省のプログラム、「エネルギー・イノベーション拠点」と「アルバート・アインシュタイン特別教育者奨学金」は現状維持となった。
・1千万ドルがエネルギー貯蔵のプロジェクトに追加された。
・民主党は、エネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)の大幅予算増加を試みたが、大幅な削減となった。増加が成功したのは、EERE水素エネルギー研究への1千500万ドルの増加のみ。
・逆に、化石エネルギー局の予算は、EEREから3,340万ドルを移すことにより、2017年度レベルに戻った。

エネルギー省以外にも、例えば、STARBASE教育プログラム(軍のプログラムでマイノリティーや教育を受けるのが難しい青少年にSTEM教育をする)は500万ドル増加。サイバー奨学金プログラムは1千万ドル増加となった。癌と湾岸戦争に伴う疾病研究に対しては3千万ドル以上の増加となった。また軍需品研究、医学技術、海軍の電磁レールガン・プロジェクトの予算も増加した。

上院: 予算上限の議論の中で、予算削減された省庁
上院予算委員会は、ホワイトハウスの大幅な予算削減要請から国立科学財団(NSF)その他の連邦組織を保護した下院の予算案に従った。しかし、上院の商務、法務、科学(Commerce, Justice and Science: CJS)予算法案(NASA、商務省を含む)は昨年より32億ドルの削減となった。

上院民主党は軍事・非軍事予算の上限額を同等割合で増加することを押し進めた。CJSを取り決める過程で、NSFの予算を5パーセント増加し、それにより米国航空宇宙局(NASA)予算を2017年度レベルで維持することを提唱した議員もいたが、僅差の投票で敗れた。
上院の予算法案によれば、国立科学財団(NSF)の予算は、2017年度より1億6,100万ドル(2.2パーセント)の削減となる。

米国航空宇宙局(NASA)については、惑星科学を2億3,400万ドル(12.7パーセント)削減したが、地球科学は昨年レベルを維持。これにより、NASAはいくつかの地球科学のミッションを続けることができる。探検では、次世代大型ロケット(SLS)と新型宇宙船オリオンは2017年度レベルで継続する。宇宙技術部は2パーセントの増加で、これには1億3,000万ドルを投じる燃料補給人工衛星(ESTORE-L)プログラムの維持も含まれる。

商務省の国立標準技術研究所(NIST)の予算は0.7パーセントの増加、トランプ政権予算要求より9,500万ドル上乗せとなる。

商務省傘下の他の機関として、海洋大気局(NOAA)があるが、その海洋大気研究部での気候研究は昨年レベルを維持、これは、下院およびトランプ政権による19パーセント削減勧告を拒否したものとなる。NOAAの旗艦気象衛星は予定通りの予算。とりわけ、下院とトランプ政権により大幅削減の目標となったPolar Follow Onミッション(気象衛星)について、上院は、2017年度の3億2,890万ドルより、9,010万ドルの増加とした。

さらに、運輸省(DOT)の技術プログラムに関して、上院予算委員会は別の法案を採択した。連邦航空局(FAA)のNextGenイニシアチブには適度な増加を認めた。これは米国の航空交通コントロール・システムを最新化するものである。NexGenは11億ドルの予算となる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]