[本文]

国名:
英国
公開機関:
財務省
元記事公開日:
2017/11/22
抄訳記事公開日:
2017/11/24
元記事の言語:
英語

2017年秋の予算編成方針(Autumn Budget 2017):フィリップ・ハモンド財務大臣の演説

Autumn Budget 2017: Philip Hammond's speech

本文:

財務省は2017年11月22日付でフィリップ・ハモンド(Philip Hammond)財務大臣が同日の議会演説で発表した標記予算編成方針を公表した。財務大臣の演説および発表された予算編成方針の概要から主として科学技術・イノベーションに関わる部分を抜粋・要約して以下に記す。

●財務大臣の演説概要

・Brexitに備えてすでに約7億ポンドを投資してきた。今後2年間にさらなる30億ポンドを確保する。また必要であれば必要な時に追加額を配賦する用意がある。今回の予算はBrexitをはるかに超えたところに着目している。世界は技術革命を目前にしている。これは我々の働き方や生活様式を変え、将来世代の生活水準を変革するものである。

・2010年以降、英国の将来に5,000億ポンド(ビクトリア時代以降最大の鉄道計画、70年代以降最大の道路建設計画、ここ40年間で最大の科学・イノベーション・ファンディングの増加、欧州最大の2件のインフラ・プロジェクトなど)を投資してきた。そして昨秋、5年間で230億ポンドの追加投資を行う生産性投資国家基金(National Productivity Investment Fund: NPIF)を立ち上げた。21世紀に向けて英国の経済インフラをグレードアップするためである。今回はNPIFをさらに1年延長して310億ポンド強に拡大する。

・研究開発投資に23億ポンドを追加配賦する。また主な研究開発費税額控除を12%に引き上げる。産業戦略の目標に向けた第1歩として経済全体の研究開発投資を対GDP比2.4%まで引き上げる。

・人工知能から第5世代通信や全面光ファイバー広帯域網に至るまで一定範囲のイニシアチブに5億ポンド強を投資する。規制機関先駆け基金(Regulators’ Pioneer Fund)の新設により、規制改革を支援する。新たな衛星測位データ委託制度により、経済成長を支援するために政府の位置データを活用する戦略を展開する。

・英国企業の規模拡大に200億ポンドを超える新規投資を実施する「行動計画」を発表する。25億ポンドの公的資金を元手にして英国ビジネス銀行(British Business Bank: BBB)の新規ファンドを経由する資金を含む。長期投資には年金基金を活用する。また知識集約型企業向けの企業投資制度(Enterprise Investment Scheme: EIS)の投資限度額を倍増する。必要なら欧州投資基金による貸し付けの代替に踏み込む用意がある。

・将来の自動車は無人運転で、しかもまずは電気自動車である。新たに4億ポンドの充電インフラ基金を設立する。またプラグインカー助成金に1億ポンド、充電に関する研究開発に4,000万ポンドを投資する。

●予算編成方針の概要(https://www.gov.uk/government/news/autumn-budget-2017-25-things-you-need-to-know)に盛られた主要施策のうち、科学技術・イノベーションに直接関わる事項には次のものがある。

・国民保健サービス(NHS)向け新規ファンディングに63億ポンド
NHSの建造物のグレードアップおよび医療の向上に35億ポンドを投資する。救急外来の能力向上、患者の待ち時間縮小、および、この冬の治療患者数の拡大のため28億ポンドを投資する。

・電気自動車・無人運転車
英国は、人による安全操作なしに自動運転車の試験ができる規則を提示する。さらに国民によるバッテリー搭載電気自動車の購入支援に1億ポンドを投入する。政府はまたすべての新築の家が電気自動車の充電ポイントに適合するケーブルを備えられるようにする。

・人工知能(AI)に関する世界初の国家諮問機関
「データ倫理・イノベーション・センター」ではAIおよびデータの使用法と倫理に関する基準を定める。これにより英国は、この技術の実践的な使用法の開発において世界をリードすることができる。

・学校教育における数学・科学教育へのさらなる投資
数学がAレベルまたはコア科目である生徒が1人追加されるごとに学校は600ポンドを受け取る。3,000校の学校の数学教授法の改善に2,700万ポンドを支援する。一般中等教育修了(GCSE)の数学の再試験を受ける学生の支援に4,900万ポンドを投入する。全国に設置されているすべての数学専門学校に対して年あたり35万ポンドの追加ファンディングが行われる。完全な資格を有するコンピュータ科学の教師の数も4,000人から1万2,000人に増員される。

・建築技術およびデジタル技術の研修コースに6,400万ポンド
レンガ積み工事や漆喰工事のような建築技術の教育に3,400万ポンドを投入する。AIを用いたデジタル技術コースには3,000万ポンドを投入する。このファンディングは、国民の新たな技術の習得を支援する「国民再研修制度」の開始に先立って実施される。

・大気汚染が最も過酷な地域向けの2億2,000万ポンドの「クリーン大気基金」
地方自治体はこの資金を利用し、大気汚染の削減措置を実施することで住民の適応を支援することができる。この資金の使い道として可能性があるのは、低所得者向けの公共輸送コストの低減、より効率の良いエネルギー技術を用いたバスの最新化などがある。

・使い捨てプラスティック廃棄物の削減
コーヒーカップ、歯磨きチューブ、ポリエチレン製持ち帰りボックスなどの使い捨てプラスティックは我々の環境に害を及ぼすため、政府は税制や料金徴収を通しての使い捨てプラスティック廃棄物削減策に関する見解を求める。

・イングランドを横断する輸送路に対するファンディング
イングランド各都市の輸送路の改善に17億ポンドを投入する。Tyne & Wear Metro(北東イングランドの鉄道会社)の新規車両に別途3億3,700万ポンドを投資する。さらにミッドランドの各都市を繋ぐ自動車道および鉄道プロジェクトに600万ポンドを投入する。またケンブリッジからミルトン・キーンズそしてオックスフォードまでの回廊沿いの輸送リンクが改善される。

[DW編集局]