[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立宇宙研究センター(CNES)
元記事公開日:
2013/07/01
抄訳記事公開日:
2013/07/31

「3年ごとの起業を目指す」

Stratégie-Créer une start-up tous les trois ans

本文:

国立科学研究センター(CNRS)が発行する「CNRSジャーナル No.273」(2013年7~8月)の32ページの標記記事では、CNRSのスピントロニクス・要素技術(Spintec)研究室長のジャン=ピエール・ノジエール氏がインタビューに応えている。その中から要点を抜粋して以下に記す。

Q: Spintec研究室は積極的に成果利用に軸を置いた方針が顕著であるが、その目標とするところは?
A: 2002年のSpintec創設のときから成果利用が基本である。磁性を持った成分を半導体回路に組み込み、マスストレージ、コンピュータのRAM、通信用の革新的要素部品を実現することを目標とするスピントロニクスの分野では、マイクロエレクトロニクスの場合と同様に、時間的なファクターが最も重要である。大量の資源を必要とする過酷な競争に的確に対応するには、発明から実証試験までの期間を最小にする必要がある。概念上の発明の多くは2007年のノーベル賞を受賞したものなどフランス人によるものであるが、成果利用となると米国人や日本人が優勢である。世界的にも高水準にある基礎研究から産業界に夢を与える応用プロジェクトに至るまでの連続性をすべて効率的に行うには、同一の場所に研究者、工学者、産業界の専門家を集めたチームを立ち上げる必要があった。

Q: 当初から起業が目標であったが、実態はどうか?
A: 我々の最初のスピンオフである「Crocus」は研究室開始後僅か4年で設立された。現在では磁気抵抗メモリ(MRAM)の分野で世界のトップクラスにあり、研究室に資金をもたらすだけでなく、重要なのは信頼をもたらしていることである。第2の芽は2014年に出てくる。目標は3年ごとの起業を可能にすることであるが、最も難しいのはアイデアや技術を持つことではなく、研究室の外にプロジェクトを立ち上げる能力を持った起業家を研究者や学生の中から発掘することである。

Q: 研究室での人の採用は何を基本にしているか?
A: この研究室で働く研究者はCNRS、大学、CEAの選抜試験を通った人たちで、他の研究室と同じである。いずれも多かれ少なかれ長期にわたる成果利用の展望に関わるものであるが、研究室が定めた戦略方針に沿って仕事をしている限りにおいて彼らは自由である。逆に彼らは研究的に魅力のあるテーマを諦めてでも、プロジェクトチームに溶け込み、特に発表より前に特許の出願をすることを心得ておく必要がある。これは交渉の余地のない原則である。

[DW編集局+JSTパリ事務所]