[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2013/05/15
抄訳記事公開日:
2013/08/01

NSTC年次報告:国家ナノテクノロジー・イニシアティブ

National Nanotechnology Initiative: Supplement to the President's 2014 Budget

本文:

国家科学技術会議(NSTC)は5月、国家ナノテクノロジーイニシアティブ(National Nanotechnology Initiative:NNI)について、2014年度大統領予算教書の補足説明報告書を発表した。同報告書は、プログラムと予算の観点から、NNI参加省庁の2012年・13年の活動を振り返りつつ、17億ドルを要求した14年度の活動計画を展望している。

NNIは2001年に設立され国防総省(DOD)、エネルギー省(DOE)、環境保護庁(EPA)、航空宇宙局(NASA)など、27の政府機関が協同して研究開発を行っている。NNIはNSTCの枠組み内で運営されており、NSTC技術委員会のナノスケール科学工学技術(NSET)小委員会は、NNIの計画立案、予算作成、プログラム執行、評価などを行っている。NSETのメンバーは各省庁の代表者並びに大統領府のスタッフが務める。NNIに関する問い合せの窓口は国家ナノテクノロジー調整局(NNFO)が受け持ち、NSET小委員会へ技術的・事務的サポートを実施するほか、多省庁間の予算配分調整や情報公開、NNIウェブサイトの更新などを行っている。

NSET小委員会はNNIの活動を支援するため、次の4つのワーキンググループを立ち上げた。
・ Global Issues in Nanotechnology(GNI)
・ Nanotechnology Environmental and Health Implications(NEHI)
・ Nanomanufacturing, Industy Liaison and Innovation(NILI)
・ Nanotechnology Public Engagement and Communications(NPEC)

2011年の戦略計画ではNNIの掲げるビジョンを達成するために、4つのゴールが設定されている。
・ 世界トップレベルのナノテクノロジー研究開発プログラムを進める
・ 新しい技術を社会に貢献するため、製品に反映させる
・ ナノテクノロジー技術を進めるため、教育プログラム、特殊訓練、インフラなどを用意する
・ ナノテクノロジーの責任ある開発を支援する

報告書第三章では、それぞれのゴールに対して具体的な目的が記されている。
また、R&Dに関しては次の8つのプログラム構成エリア(Program Component Area:PCA)が設定されている。

1. ナノスケール現象とプロセス
2. ナノ材料
3. ナノスケール装置とシステム
4. ナノテクノロジーに関する器具類、計測、基準の研究
5. ナノ製造
6. 研究設備及び器具類の収集
7. 環境・健康・安全
8. 教育、社会とのつながり

NNI資金は、各参加省庁が割り当てたナノテク関連予算の合計である。各省庁は、行政管理予算局(OMB)、科学技術政策局(OSTP)、連邦議会と調整しながら、ナノテクR&D予算をそれぞれ個別に決定している。各省庁は、NSET小委員会や作業部会を通じて密にコミュニケーションを取り合い、情報共有、共同公募、ワークショップ運営、施設・設備の共有といった多様な形態の省庁間協力につなげている。

本報告書は、NNIの年次報告であると同時に、2014年度予算に対して補完的な情報を提供しており、国防総省(DOD)が必要としているナノテク投資に対する報告結果も含む。特に、2012年・2013年のプログラムの総括と、2014年度計画について要約している。
2012-2014年のNNI予算は、省庁毎、PCA毎に第2章に記載されており、同章の後半部分には小規模ビジネスイノベーション研究(Small Business Innovation Research:SBIR)や小規模ビジネス技術移転研究(Small Business Technology Transfer Research:STTR)についても触れている。
第3章から6章までは、NNI戦略の4つのゴールを実現するために実施されている活動やナノテク指定構想(Nanotechnology Signature Initiatives:NSIs)を支援する活動、PCAによる投資配分の変化、NNIに対する外部レビューのまとめなどが記載されている。

[文責:DW編集局]

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