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- 国・地域名:
- ノルウェー
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ノルウェー研究会議
- 元記事公開日:
- 2013/06/14
- 抄訳記事公開日:
- 2013/06/28
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油の回収に一役買うナノ粒子
- 本文:
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ノルウェー研究会議の2013年6月20日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===石油会社が油井を放棄する場合、回収が困難なことから貯留層の石油の半分以上が残されたままになるのが通例である。しかし今、ナノ粒子の力と簡単な物理の法則を用いることで、残油の大半を回収することができるようになっている。
石油貯留層では、水は川の水とほぼ同じように流れ、通り道が細長いと流れるスピードが速くなり、幅広いとゆっくりと流れる。貯留層に水が注入されると、圧力差により必然的に水は注入井から離れ、岩石の極めて小さな細孔を通って生産井の方へ流れる。岩石の細孔はすべて、トンネル状の非常に細長い通路のようなもので互いにつながっており、水はこの通路を通り抜ける際に加速する。
今回の新しい方法は、トンネルの直径よりもかなり小さな粒子を含んだ注入水の浸出を利用したものである。粒子で強化された水は、トンネルの入り口に到達すると粒子よりも早く加速する。その結果、粒子が取り残されて堆積し、トンネルの入り口を塞ぐ。そして最終的にはトンネルが密封されることになる。
すると、その後に注入される水は岩石の細孔や通路を通った後、他のルートをたどることになる。そのルート上に石油が存在すれば、水流で石油が押し出されることになる。その結果、生産井からの石油の抽出量が増え、石油会社の利益が増加することになる。
このような石油回収法は、ベルゲン大学で博士号を10年前に取得したBo Peng氏と20年前に取得したMing yuan Li氏の2人の中国人研究者が考案した。ベルゲン大学と北京にある中国石油大学は10年以上にわたり共同で石油を研究しており、こうした研究が、この粒子を用いた方法を共に理解し改良するうえでの土台となった。
[JSTパリ事務所]