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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領府
- 元記事公開日:
- 2013/06/24
- 抄訳記事公開日:
- 2013/09/01
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「ゲノム素材イニシアティブ」プロジェクト発表
- 本文:
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オバマ政権とその産学連携パートナーは6月、「ゲノム素材イニシアティブ(Materials Genome Initiative: MGI)」を支援するための官民連携プロジェクトを進めると発表した。MGIは新素材の開発スピードを2倍にし、製造業及びアメリカ経済の成長に貢献するため2年前に始められた。連邦政府が産学界と協力し、より安全で燃費のよい自動車、食べ物の鮮度を維持する包装容器、衛星やスペースシャトルに使用可能な高温・放射能への耐性が高い素材の研究などが進められている。
MGIは科学技術政策局(OSTP)の管轄に置かれ、多省庁にわたる公的素材研究機関や私立研究所、大学での研究者などが素材科学の新発見に関する基礎的な情報を共有できるような仕組になっている。MGIの立ち上げから2周年を期し、当初の目的が多数達成されたことに基づき、オバマ政権と民間部門のパートナーは以下の新たなコミットメントを発表した。 MGI支援するセンターの創設:国立標準技術研究所(NIST)は今後5年にわたり、2500万ドルをかけ、先端素材研究拠点(Center of Excellence on Advanced Materials)を設立する。NISTとしては二つ目の研究拠点にあたり、素材研究と開発に集中できる環境や実験装置を用意する。NISTはASMインターナショナル及びComputational Materials Data Networkと協力し、素材データを公表し、デジタルかして蓄積する仕組みを構築する。
大学間における素材イノベーション促進ネットワークの設立:MGI目標達成に向け、ウィスコンシン大学マディソン校、ジョージア工科大学が協同して素材イノベーションに関する新しい研究機関を設立する。既に累計して1500万ドルの資金を投入しているプロジェクトに対し、ミシガン大学がさらに2000万ドルの資金を貢献する。3大学は他のセンターや研究機関、MGI関連の活動と積極的にかかわり、全米にわたる素材イノベーション促進ネットワークの設立を進める。
素材開発を促進させる官民協同プロジェクト:ローレンス・バークレー国立研究所、MIT、インターモレキュラー社(Intermolecular, Inc)が協同し、バークレー研究所が提供するソフトウェアツールを活用して材料挙動の予測を研究している。新素材開発を現状のアプローチの10倍のスピードで行えるようなツールの開発を進める。
素材データの無料提供:ハーバード大学とIBMが協力して、太陽電池に使用可能な新素材2300万種のデータを無料で提供することを始めた。基礎データの共有はMGIの原則のひとつであり、これらの新しいデータ提供により、効率の良い発電装置、特に屋根や窓、壁への塗装や持ち運びできる軽量化された装置の開発に貢献することが期待される。
教育での新たな貢献:昨年MGIを進歩させるため60以上の企業や大学機関が約束をしたことに加え、さらに7つの大学機関、ソフトウェア会社などがカリキュラム開発、新しい学部の設置や研究機会の提供などで貢献することとなった。MITは新素材のイノベーションと商業化に特化した新しいオンラインコース(MOOC)を開始する。これらの新しい貢献は、MGIに参加する5つの機関、国立科学財団(NSF)、国防総省(DOD)、エネルギー省(DOE)、航空宇宙局(NASA)、NISTからの支援に基づいている。これら5機関は2012年度にMGI関連研究に対して70以上のアワード、計約6300万ドルを拠出している。
[DW編集局]