[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
元記事公開日:
2013/06/27
抄訳記事公開日:
2013/07/31

マリンゲノミクスには、海洋に関する数々の未知の秘密を解明する力がある

Marine genomics has the power to reveal the many undiscovered secrets of the oceans

本文:

欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2013年6月27日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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海洋は多様な生命体で満ちている。そのため、海洋生物の多様性の全貌を把握することは、困難ではあるもののやりがいのある研究である。研究者らは現在、海洋生物の変化の様子を観察し、このような知識から得られる恩恵について調査しているだけでなく、海水中の生命体、中でも侵入種の新たな特定方法を模索している。

研究者の中には、プランクトン試料を収集するために、スウェーデンの西海岸などを航行する調査船に定期的に乗っている海洋科学者もいる。これまで長年、海洋科学者は試料を持ち帰って顕微鏡で個々の生命体を調べ、一つ残らずすべての生命体を特定することで侵入種を探し出そうと努めていた。だが幼い生命体の場合、こうした作業は非常に難しく、見分けることが困難である。

「侵入種はこの20年間、さまざまな問題を引き起こしている。今後はますます多くの問題をもたらすだろう」と語るのは、スウェーデンにあるヨーテボリ大学の海洋科学者、Matthias Obst氏である。「従って、侵入種のダイナミクスを理解する手法を見つける必要がある。それには、ゲノム手法が非常に有力なのである」。

Matthias Obst氏は今、採取試料の遺伝子構造をマスシークエンシングで調べ始めている。この手法により、水中野生生物がより簡単かつ正確に特定できるようになるだけでなく、作業効率もはるかに向上する。科学者は長年、海洋の姿をひも解くことに取り組んでおり、科学界以外にとっても非常に有用な、かなりの量の知識を獲得してきた。

研究者は特に、こうしたデータを産業界や環境当局が利用できるようにし、社会が海洋生物の豊富な遺伝的多様性から恩恵を受けられるようにすることに関心を抱いている。これは、EUの助成による研究プロジェクト「利用者のためのマリンゲノミクス(Marine Genomics for Users:MG4U)」により可能となっている。このプロジェクトは、マリンゲノム技術の認知度を高め、医学研究、栄養食品および化粧品などのさまざまな分野における潜在的な用途に、こうした技術を利用できるようにすることを目的としている。

[JSTパリ事務所]