[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2013/07/31
抄訳記事公開日:
2013/09/20

フランスにおける研究雇用の現状

L'état de l'emploi scientifique en France

本文:

高等教育・研究省は2013年7月31日標記資料を公表した。概要を述べた部分から主要部分を抜粋して以下に記す。

「研究雇用」という用語は各種研究開発プロジェクトに従事する要員の全体に及ぶ。つまり博士課程院生、研究教員、研究者、研究支援要員などが対象で、公的セクターでも民間セクターでもフルタイムまたはパートタイムで研究開発業務に関与する人々が含まれる。

[就業人口は一定して伸びている]

フランスの研究雇用による就業人口はフルタイム換算で2010年には393,000人を僅かに超えている。2000~2010年の間のこの人口の増加は23%に達している。研究雇用の主体を成すのは研究者でフルタイム換算で約240,000人、2000年から42%の伸びである。研究者数の年平均増加率は3.8%である。因みにドイツと英国の実効研究者数の年平均増加率はそれぞれ2.4%、4.2%である。
このような伸びは公的セクターより民間セクターにおいて顕著である。2000~2010年の間公的セクターの研究者数は13.7%伸びた(年平均では1.25%)。同じ期間に民間セクターでは72.7%の伸びが認められ、年率では6.6%であった。このような伸びを考慮すると2002年以降民間セクターでは公的セクター以上の研究者を擁することになる。2010年の企業研究者の割合は58%に達している。

[グローバルな競争を反映した国際的位置づけ]

2000~2010年の間の実効研究者数における上位5カ国はずっと同じで、しかも各々の順位も同じである。2010年時点で上位にいるのは、米国(研究者数が約1,413,000人)、中国(1,211,000人)、日本(656,000人)、ロシア連邦(442,000人)、ドイツ(328,000人)。これに続くのが、英国(256,500人)、韓国(264,000人)で、フランスは(フルタイム換算)研究者数が239,613人で第8位である。
上位5カ国のそれぞれの地位が明らかに安定しているのは、背後に各国のそれなりの活力があることを示している。中国と韓国は2000年代の初頭に年率10%相当の高い成長率を示したが、2000年代の終わりには率の下降が見られる。同じ時期の研究者数はEUにおいては年3%強(フランスは3.6%)、米国で年1%、日本では年0.1%の伸びであった。
実効研究者数を労働人口比で見ると、各国の位置は幾分違ってくる。人口の少ない一部の国が世界上位を占める。たとえばフィンランド(1位)、スウェーデン(5位)では、労働人口千人あたりの研究者数がそれぞれ15.4人、9.9人となる。フランスは8.5人で日本(10.0人)や米国(9.1人)の後に続く。それより後にドイツ(7.9人)、英国(8.2人)、スペイン(5.8人)がいる。またフランスはEU平均(6.6人)よりは上位にいる。

[安定と変動の間にある研究雇用の人的供給源]

2007年までの研究修士課程はほとんどの場合博士課程進学の手段であった。2008学年次からは研究コースと職業コースに同時に備える画一型修士課程登録が大きく伸び、2010学年次にはそれが圧倒的多数を占めるまでになった。2011学年次の修士課程学生の保有数は約82,500人で、2004学年次以来倍になっている。他方、理工科学校(グランゼコール)の実効定員は2001~2011年の間36%増えて、121,600人の学生を擁するに至っている。
修士課程修了後の博士課程への進学率は2007~2010学年次の間低下している。研究修士課程で19%から14%に、画一型修士課程では11%から5%に低下している。修士号取得者数の増加が関係しているこの進学率の低下は、程度は様々であるが分野全般に及んでいる。それは進学率が最も高かった分野(医療、自然科学)で最も顕著で、そのことが進学率の差を縮める結果となっている。
上記現象が博士課程登録者数に影響しているようには見えず、むしろ博士課程進学のルートが多様化していると考えられる。これに関する十分な調査は行われていないが、理工系グランゼコールの学位論文の達成率は一定した伸びが確認されている。2011~2012年の博士課程登録者数は65,000人ほどで、2001~2002年に比べると6%の増加である。この伸びは特に外国人博士課程院生の数の伸びによるもので、この間のフランス人博士課程院生の数は減少している。外国人院生の占める割合は2001~2002年の27%に対して2011~2012年は45%である。

上記以外に下記の各テーマについて詳述されている。

[若手博士号取得者の職業コースの多様化および公的セクターへの就職]

[公的研究雇用では大学が中心的位置]

[民間セクターにおける雇用: その記録的な高い伸び]

[官民セクター間で顕著な人口構成(平均年齢等)の違い]

[未完成部分の多い男女機会均等]

[地域別に見た研究雇用: 一部の地域が優勢]

[研究者の国際的流動性: 移動の現実]

[DW編集局+JSTパリ事務所]