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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 高等教育・研究省(MESR)
- 元記事公開日:
- 2013/07/29
- 抄訳記事公開日:
- 2013/09/24
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2011年のフランスの研究開発支出(2012年の第1次予測を含む)
- 本文:
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高等教育・研究省が発行する「Note d’Information No.13.06」は標記に関する報告を掲載している。特に国内研究開発支出の部分について以下に概要を記す。
2011年の国内研究開発支出(DIRD)は450億ユーロに達し、2010年に比べて16億ユーロの伸びとなった。物価の変動を加味すると2010~2011年のDIRDの伸びは2.3%となる。因みに2009~2010年は3.1%、2008~2009年は3.6%であった。国内総生産に対する国内研究開発支出の割合で示される研究努力は、2009年の2.21%、2010年の2.24%に続き、2011年は2.25%であった。2009年以降のこの数字の伸びは、国内総生産の伸び(2009~2010年が1.7%、2010~2011年が2.0%)より国内研究開発支出伸びが上回った結果による。
2012年のDIRDの伸びは、政府および企業の支出の伸びが小さいことから、鈍化(+0.6%)する見通しである。国の研究努力に関しては2.26%で2011年に近いレベルを維持する見込みであるが、3.0%と定められた欧州の2020年戦略目標にはまだ程遠い。
[企業の国内研究開発支出が2010年に2.9%、2011年に3.4%の伸び]
2011年、フランスに拠点をおく企業の国内研究開発支出(DIRDE)は288億ユーロに達した。物価の変動を考慮してもDIRDEは2007年以降伸び続けており、その伸びは年々急速になっている。2007~2008年が1.5%、2008~2009年が1.9%、2009~2010年が2.9%、2010~2011年が3.4%伸びている。国内研究開発支出の研究部門別分布を見ると特定部門に大きく集中していることが分かる。国内研究開発支出で上位3つの研究部門は、自動車産業、製薬産業、航空・宇宙産業である。この3つの部門で企業の国内研究開発支出の37%を占める。
・自動車産業による国内研究開発支出は、2011年は47億ユーロである。2008~2010年に一旦減少した後、2011年には改めて伸び、2008年(44億ユーロ)を上回るレベルに達した。
・製薬産業は2011年31億ユーロを支出して国内研究開発支出で第2位の地位を維持した。この研究部門への投資はここ数年一定して伸びが衰えている。2007~2008年が-2.6%、2008~2009年が-3.5%、2009~2010年が-5.9%、2010~2011年が-4.1%である。
・航空・宇宙産業にはDIRDEの10%が集中していて、国内研究開発支出で第3の部門である。支出の伸びは2009~2010年が2.1%、2010~2011年が7.2%であった。
・2011年はサービス部門全体で54億ユーロを占めた。DIRDEの19%である。[政府の国内研究開発支出は0.3%の伸び]
2011年の政府の国内研究開発支出(DIRDA)は163億ユーロである。物価の変動を考慮に入れると2010年比で0.3%の伸びである。大学、科学技術的性格公施設法人(EPST)、商工業的性格公施設法人(EPIC)により、政府が主導する研究開発業務の大半(90%)が実行される。
・2010年同様に2011年は大学の国内研究開発活動に55億ユーロが割り当てられた。物価の変動を考慮するとこの国内研究開発支出は1.4%の減少である。しかしながら2011年のこの支出は大学の研究業務に関して外部に多くを依存している。つまり受託や共同研究の運用枠組みにおいて他の実体(公的機関や他の高等教育施設)が実施する研究開発業務の支援などである。大学は常に政府の研究開発支出の主要部分(34%)を占める。
・EPSTの2011年の国内研究開発支出は53億ユーロに達し、政府支出の32%を占める。2010年から1億ユーロの増である。2年連続で伸びた後、2011年は1.1%の減である。国立科学研究センター(CNRS)の国内研究開発支出は31億ユーロで、研究開発支出で見ると研究に特化した公的機関としては2011年も依然として最大の機関である。
・物価変動を考慮したEPICの研究開発支出は2010~2011年で3.5%伸びて、2011年は39億ユーロである。政府支出の24%を占める。原子力・代替エネルギー庁(CEA)民用部門は2011年24億ユーロの研究開発業務を実施したが、これはEPICの国内研究開発支出の61%を占める。 [DW編集局+JSTパリ事務所]