[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立海洋開発研究所(IFREMER)
元記事公開日:
2013/07/31
抄訳記事公開日:
2013/09/26

海洋領域において生物資源由来材料の活用に大きな第一歩、競争用ヨット「Gwalaz」が初航海を終える

Le Gwalaz a bouclé son premier tour de Bretagne. Des champs aux océans, un grand pas pour les biomatériaux

本文:

化石資源の枯渇が予想され、石油の価格が上昇し、環境への影響を小さくすることが世界レベルで意識されている中で、多くの市場(断熱・建設材料、絵画材料、化粧品、包装材など)で生物資源を利用した製品の開発を促進する状況が生まれている。また従来型の複合材料ではリサイクルが非常に困難という問題を抱えている。

国立海洋開発研究所(IFREMER)の2013年7月31日標記報道記事では、亜麻、コルク、バルサの繊維を使用してエコ設計された初のトリマラン(船体の3つある競争用ヨット)について報じている。概要は以下のとおり。

競争用ヨット「Gwalaz」は コンカルノー在住のフランスの航海家、Roland Jourdain氏のファクトリー・チーム「Kaïros」の発案により、ブルターニュ地域の資金支援を得て、バイオ複合材料を用いた造船の研究に関与しているIFREMERおよびブルターニュ材料工学研究所(LIMAT B)が協力して、5月末成功裏に進水した。バイオマスに直接由来する材料を用いたエコ設計という点でまさに画期的な技術革新であり、化石資源依存から解放され製品設計段階からリサイクル過程の考慮が可能になる。

Roland Jourdain氏のチームとの協働作業の開始は2009年にさかのぼる。様々なバイオ複合材料やバイオ積層材について数百回の試験を実施した結果、水上スポーツの材料に必要とされる特性と品質をすべて備える材料を採択した。第2期は研究室から造船施設での作業に移行し、工業生産の条件下でこれらの材料の挙動を調べた。次は現実の状況下での評価と経年変化の調査である。

目的は資源を節約し環境に配慮した循環システムの構築にある。従来の複合材料で造られた船は有害である。寿命がきてもリサイクルの見込みは全くなく、入江やドックなどに放置されている。「Gwalaz」の場合は環境保全の原則に従って設計段階から寿命が考慮されており、寿命期には船体はすべて有効活用できる。

「Gwalaz」は1ヶ月間の初航海で現実の環境下でテストされ、このトリマランは完璧に海を制し、速度も19ノットを記録した。

[DW編集局+JSTパリ事務所]