[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
元記事公開日:
2013/08/08
抄訳記事公開日:
2013/08/31

がん診断のための最新のナノテクノロジー

Advanced nanotechnologies for diagnosing cancer

本文:

欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2013年8月8日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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がんと闘う上で有望視されている分野の一つが、ナノテクノロジー、つまり特定の医療目的のために、原子・分子レベルで物質を操作する技術の利用である。

EUが資金提供するNAMDIATREAM(Nanotechnological Toolkits for Multi-Modal Disease Diagnostics and Treatment Monitoring:複合的な疾患診断および治療の監視のためのナノテクノロジーを利用したツールキット)プロジェクトは、ナノテクノロジーをベースにした手法を用いて疾患の早期発見に貢献することを目的としている。EUでは毎年、170万人がガンで死亡しており、320万人が、新たにガンと診断されている。

アイルランドのダブリンにあるトリニティ・カレッジが主導するNAMDIATREAMのプロジェクト・チームは、早期発見を可能にするナノテクノロジー・ベースのツールキットを開発している。このツールキットには、特に一般的な種類のがんと体内の他の部位へのその広がりを示すバイオマーカーの検出、造影機能が含まれている。

このツールキットは、ナノ粒子の試薬と診断チップで構成されており、発光性、磁気その他固有の光学的特性を視覚化し、がんのバイオマーカーのスクリーニング検査を行うために使用することができる。たとえば、まずナノ物質を含んだ試薬を患者の組織サンプルと混ぜ合わせる。次に、研究者は最新の造影技術を使って、そのサンプルにおけるナノ物質の詳細な分布を視覚化する。こうして、がんに罹患していることを示すバイオマーカーを特定することができるようになるのである。

NAMDIATREAMプロジェクトで開発されるツールキットは携帯することも可能なため、臨床試験や研究、病院など、様々な状況で利用することができる。さらに、この手法ではサンプル量はマイクロリットル単位で充分なため、侵襲性を低減し、コストを引き下げることもできる。

[JSTパリ事務所]