[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
元記事公開日:
2013/08/09
抄訳記事公開日:
2013/08/31

災害時の通信サービスエリアを保証

Guaranteeing communication coverage in the event of disaster

本文:

欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2013年8月9日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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非常事態や災害、予期せぬ事件の発生直後でも利用できる、迅速な配備が可能な無線通信網を開発することを目的にEUが資金供与するプロジェクトが、先ごろある国際イベントで表彰された。

「第5回衛星を利用した個人用通信サービスに関する国際会議(5th International Conference on Personal Satellite Services)」で、ABSOLUTE(Aerial Base Stations with Opportunistic Links for Unexpected & Temporary Events:予期せぬ事件及び一時的な事件発生時に必要とされる臨機応変なリンクを備えた航空通信基地局)プロジェクトが最優秀論文賞(Best Paper Award)を受賞し、この研究分野の可能性が明確に示された。

2012年10月にスタートしたABSOLUTEプロジェクトは、柔軟性、安全性および回復力に優れたブロードバンド・サービスを提供することができる通信網を設計、実証することを目的としている。非常時直後の復旧業務においては、通信インフラが重要な役割を果たす。だが多くの場合、地上インフラでは市民や救助隊に確実なサービスを約束することはできず、現行の公衆安全通信網には、ブロードバンド・サービスに対応できるほどの十分な能力は備わっていない。

ABSOLUTEプロジェクトが対処しようとしているのが、まさにこの点である。産業主導型のこのプロジェクトは、4GのEnodeB(携帯端末と直接交信できる携帯電話通信網に接続されたハードウェア、無線基地局装置)が組み込まれ、速やかに配備することが可能な柔軟性の高い空中プラットフォームを用いることで、回復力に優れた通信網を短時間のうちに構成し、自然災害などの大規模な不測の事態に見舞われた地域に確実かつ信頼できるブロードバンド・サービスを提供することが可能であると示すことを狙いとしている。

このシステムには様々な無線通信技術が統合されており、特定のエリアに異なる種類の通信サービスを提供する。ABSOLUTEプロジェクトは、低高度プラットフォームにLTE-A(移動体通信規格)に準拠した基地局を組み込むことで、広域をカバーするブロードバンド・サービスを提供する予定である。携帯型の陸上移動通信の基地局も配備される予定であり、従来型の公衆安全通信網と相互運用される。また、第一対応者のために、最先端の業務用マルチサービス端末も開発されることになっている。

EUが計800万ユーロを助成し、2015年9月まで続けられるこのABSOLUTEプロジェクトは、フランスのThales Communications & Security社がコーディネータを務めている。

[JSTパリ事務所]