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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 科技日報
- 元記事公開日:
- 2013/09/14
- 抄訳記事公開日:
- 2013/10/07
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中国人研究者、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が人間の細胞に感染するメカニズムを解明
- 本文:
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2013年9月14日付の「科技日報」ウェブサイトは、中国科学院上海薬物研究所の呉蓓麗研究員チームがケモカイン受容体5(CCR5)の構造生物学の研究で重大な進展を得ることに成功し、その成果が「サイエンス」誌の最新号で発表されると報じた。本記事ではその概要をまとめる。
CCR5は、HIVの共同受容体として、大多数の種類のHIV感染の中で重要な役割を果たすため、抗HIV薬の創製において重要なターゲットとなる。だが、CCR5のタンパク質発現は難しく、また構造が不安定なため、質の良いタンパク質結晶を得にくい。呉研究員チームは米スクリプス研究所と提携し、新種の結合タンパク質によってCCR5の構造を安定させ、高解像度のCCR5タンパク質分子の三次元構造を得ることに成功した。同チームはこの成果に基づき、エイズ治療薬のマラビロック(maraviroc)がCCR5に作用してウィルスの侵入を阻害するメカニズムも明らかにした。
呉研究員チームは、この研究を更に深く推進し、「CXCR4(C-X-C chemokine receptor-4)とCCR5の構造情報を把握した上、種別の抗HIV薬の研究開発を加速したい」としている。またスクリプス研究所のRaymond C. Stevens教授によると、CXCR4とCCR5の三次元構造を解明したことによって、HIV感染防止の新方式の研究におけるブレークスルーの実現が期待できるという。
[JST北京事務所]