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- 国・地域名:
- スイス
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- スイス国立科学財団(SNSF)
- 元記事公開日:
- 2013/08/20
- 抄訳記事公開日:
- 2013/08/31
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性分離の無い職業に就いた若者が、平均以上の学業成績を収める傾向
Young people in gender-atypical professions often have above-average school results
- 本文:
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スイス国立科学財団(SNSF)の2013年8月20日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===スイスでは、多くの職業が男性によってほぼ独占されており、その他の職業については女性が圧倒的多数を占めている。このように、スイスにおける性別による職務の分離は、他の欧州諸国よりもはるかに際立っている。また、性別分離のない職業を選択した人々は、平均を上回る学業成績を収め、強い自信を示すことが多い。これらは、「性の平等(Gender Equality)」(NRP 60)という国家研究プログラムの一環として行われた調査で得られた結論である。
職業の性別分離がこれほど著しいのはなぜか?これを是正するにはどうしたらよいのか?国家研究プログラム「ジェンダー平等」(NRP 60)の一環として、こうした問題に取り組んだのが、Andrea Maihofer氏とManfred Max Bergman氏に率いられるバーゼル大学社会学部とジェンダー研究センター(Centre for Gender Studies)のスタッフで構成されたチームである。
彼らはその代表的な経時的調査において、6,000人の若者の学歴と職歴を分析し、卒業から10年が経過した33人の成人を対象に綿密な聞き取り調査を実施した。性別分離がなされている職業とは、70%超が男性または女性で占められた職業として定義されており、その他の職業は、すべて性別分離のない職業であると見なされている。
この調査では、性別で分離されていない教育や職業を選択することはいまだに例外的であることが示されている。つまり職業における性別分離は、今後数年間で自然に解消するようなひとつの世代に限った問題ではないということである。6,000人の若者のうち、16歳の時点で性別の分離がなされていない職業を目指し、10年後もその仕事に就いているのは女性が22人、男性は20人だけであった。全体の1%にも満たない数字である。またこれらの若者の一部は、その職業の中でも特に性別による分離が明確な職務に従事していた。
若者が性別分離のない職業に就きやすくするにはどうしたらよいのだろうか?10代の青少年が性別分離のない職業について知りたいという意思を示した場合には、家族をはじめ教師、職業訓練士が、彼らを励ますことが重要である、と研究者は強調している。これに加えて、学校やキャリア・カウンセラーが、性別分離のない職業や、「稼ぎ手―専業主婦」というかたちを超えた家族モデルについて論じる機会を増やすことも推奨している。一般的に女性のものとされている職業に関しては、報酬を引き上げ、キャリア・チャンスを拡大しなければならず、男性が就くことが多い職業については、非常勤制やフレックス・タイム制をさらに普及させるべきである。
[JSTパリ事務所]