[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
フランス技術アカデミー
元記事公開日:
2013/08/29
抄訳記事公開日:
2013/10/11

技術アカデミーが「イノベーション2030委員会」の意見聴取を受ける

L'Académie des technologies auditionnée par la commission Innovation 2030

本文:

技術アカデミーの2013年8月29日標記報道発表によると、技術アカデミーのジェラール・ルーケロール会長は「イノベーション2030委員会」の意見聴取を受け、概略以下のようなプレゼンテーションを行った旨報じている。

「イノベーション2030委員会」は産業界、科学界、市民代表で構成され、フランスが2030年時点で指導的地位を占めることが可能な分野および技術を政府に対して提示する任務を有する。将来の社会のニーズに応えるべく最大限の価値の創造や国内での雇用の創出が可能な活動を優先的に取り上げる。

[プレゼンテーションの概要]
I. 基本原則
1) 付加価値を生む「イノベーション・システム」に重点を置くこと
2) 情報通信技術はシステムの構成成分を豊富にして統合を達成するための重要な手段である

II. 基本原則を4つの分野に適用することで「ボトムアップ」方式に基盤を置く社会の発展を促進する
1) 医療
・人の医療に関する活動は現在は国内総生産の11%であるが、2030年には15~20%になる。これは生産性の高い他の分野に関する牽引効果による。
・世界の大メーカー(GE、フィリップス、ジーメンス等)がすでに占有している医療器械の分野では、フランスの地位には難点がある。新たな臨床医療の形態である在宅医療がこの分野に関連する産業やサービスの発展に仲介役となる可能性がある。(医薬品を除く)
・在宅医療に関するイノベーションにはいくつかの局面がある。センサー、駆動装置、介護ロボット、医療データに関する大規模データベース、患者データ(カルテ)の電子情報化などのほか、総合的な医療を容易にしサービスや適用の多様化を促進する目的で、患者に関する汎用情報化モデルを作成することなどがある。(医薬品を除く)

2) 建築/都市の住環境
・建築に関する質の改善とコスト削減を目的とした機械化、情報モデルを介した各種当事者の統括によるライフサイクルの管理など。
・電力の最適管理の基盤組織となる「エコタウン」。

3) 電気自動車
・将来の電気自動車に向けたパラダイムの変化は、個別的なものではなく特定のシステムの一部をなすものである。そこでは電気自動車は交流や協働を可能にするインテリジェントで独立性の高い結合オブジェクトとなる。
・車両/運転者に対する新たなサービス(車の内部や車同士の安全確保など)、インテリジェント道路、可能なサービスをすべて取り込んだりサービスの多様化を図る目的の汎用車両モデルなどのイノベーション局面がある。
・バッテリー充電の問題回避策として「電力道路」が自動車への補給システムの構成要素になり得る。このため都市や遠隔地間の電力インフラの構築実証試験や、最低でも欧州レベルの規格策定を目指す。

4) 将来の製造業
・設計・製造・流通・保守のチェーンを情報技術によって統合する。「競争に勝ちたければ、コンピューティング力で勝て」。高性能シミュレーションや情報化モデルに関しては、フランスは非常に良好な地位にある。
・3Dプリンターなど将来のマシンツールでは、フランスはその設計段階で遅れをとっている。フランスの挽回を可能にする隙間を狙う。

III. 情報通信技術による統合により、技術革新と技術的好機を創出する
IX. その他の考慮すべきテーマ
1) バイオ技術
2) 合成生物学

[DW編集局+JSTパリ事務所]