[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
元記事公開日:
2013/09/30
抄訳記事公開日:
2013/10/17

動物実験に代わる正確で革新的なin vitro(イン・ビトロ)試験

Replacing animal testing with accurate in vitro innovations

本文:

欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2013年9月30日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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EUが助成するプロジェクトで、ヒト肝細胞ベースのin vitro試験が成功裏に確立された。この検査はヒト中枢神経系の発達を再現することができる。このイノベーションにより、より正確かつ効率的に薬物の試験を行えるようになる可能性があり、また、重要なこととして、動物実験を行わなくて済むようになる可能性も秘めている。

ES細胞を基にした新規代替試験戦略(Embryonic Stem cell-based Novel Alternative Testing Strategies:ENSATS)プロジェクトの目的は、ES細胞(ESC)を基にした新しい毒性試験のプラットフォームを開発することだった。概念実証研究では、上記の方法で発育神経毒性を招く化合物の特定に成功することが証明された。今回のブレークスルーにより、創薬に弾みがつき、関連するR&D費の削減につながるとともに、動物実験に代わる強力な手段が生まれることになるかもしれない。

生殖毒性の原因となる化合物を避けることは、ヒトの安全性にとって根本的に重要なことである。しかし、生殖毒性試験は、毒物学の中でも特に困難で費用がかかる領域のひとつに数えられている。創薬にはかなりの数の動物が必要とされる。実際に、1種類の化合物を試験するだけでも何百匹もの動物が必要なのである。

このような理由から、ESNATSは標準培地と分化プロトコルによるESCを用いたさまざまな毒性試験を開発した。多岐にわたるこれらの試験は、生殖毒性、神経毒性、代謝およびトキシコキネティクス(化学物質が体に入ると、どの程度が体内に取り込まれ、身体に何が起こるのかということに関する研究)をカバーするものとなっている。その目的は、「オールインワンの」総合試験システムを開発することであった。

重要なのは、ESNATSが上記のヒト試験システムで動物実験よりも正確な試験を行えるということを証明した点である。さらに、開発された試験システムは、他の物質の毒性評価にも使えると見込まれている。現時点での目標は、これらのシステムを拡大し、将来的に産業利用を可能にすることである。

[JSTパリ事務所]