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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 国立宇宙研究センター(CNES)
- 元記事公開日:
- 2013/09/27
- 抄訳記事公開日:
- 2013/11/06
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「研究は依然として優先的守備領域である」
- 本文:
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国立科学研究センター(CNRS)が発行する「CNRSジャーナル No.274」(2013年9~10月)の標記記事では、アラン・フックスCNRS理事長がインタビューに応えている。概要は以下のとおり。
Q: 経済危機や予算の制約のあるこの時期に、CNRSの新年次の見通しはどうか。
A: 研究・高等教育が依然として優先的守備領域であることに変わりはない。2014年予算もこの複雑な環境下でも安定しており、好ましいことだ。その結果CNRSは2014年も継続して新規採用を行う。退職者の後の補充は我々の目標としてあるが、年齢のピラミッド構成のための報酬総額を保持する必要がある。フランスの研究は守られ、それに向けた政府の努力には注目すべきものがある。Q: 高等教育・研究に関する新法が7月22日に公布されたが、CNRSにとって具体的にどんな変化があるか。
A: 新法の大半は学生の学業成就に関するものであるが、十分な教育を受けた学生がいなければ十分な研究も成り立たないという意味で我々にも関わりがある。我々にとって重要な側面が2つある。第1に、CNRSは研究・高等教育拠点(PRES)や高度化推進プロジェクトの形で大学の統合や施設間の関係強化を支援してきたが、今後も引き続き各地域の研究組織化の重要な担い手となる。新法では大学・施設共同体(CUE)の創設を謳っているが、この共同体は各地方またはその連合による将来の大規模大学の枠組を定めるものである。我々がどんな形でそこに参画していくかはまだ分からないが、法を適用する政令で将来の大学の統治方法が具体化されることになる。第2は、この秋に設置予定の方針策定委員会における国家研究戦略の策定・実施過程で、とくに5つのテーマ別研究連盟の側に立って、CNRSが参画する必要がある。Q: 第7次研究開発枠組プログラムの後継プログラムとなる欧州委員会の新規プログラム「Horizon 2020」は12月に開始されるが、様々な募集案件に首尾よく対応するべくCNRSの研究者をどのように引っ張っていくか。
A: 欧州の研究予算に対するフランスの寄与率を考えると、第7次研究開発枠組プログラムの様々な募集案件に対して我々のチームは十分な対応をして来なかった。それにはいくつか理由があり、特に大きな焦点であった「将来への投資」プログラムや組織変更に研究者が引きずられたことがある。さらには欧州契約に伴う規則が厳しすぎると考えられたことがある。これについては多くの手続きの簡素化がすでに発表されている。研究チームは元々欧州で仕事をする習慣を有しているので、自発的に欧州に復帰すると考えられる。我々の側でも12月からの新規公募への対応で研究チームを支援すべく万全の備えをしている。Q: CNRSの科学的業績は引き続きその卓越性を維持しており、CNRSの研究者には最高級の賞が与えられている。その結果CNRSは世界的なランクでも上位を占めている。このような実績をどう解釈しているか。
A: フランスは歴史的に科学、文化、技術の国である。その伝統とそのルーツが今日の国際的な企画での我々の研究の存在感と競争力に大きな影響を与えている。わが国は数世紀に渡って知識の発展、研究、人道主義、普遍主義という伝統を維持してきた。20世紀に研究組織が構築され、それが第2次大戦後の国の再建、質の高い基礎および応用研究の発展に寄与した。国全体にうまく分散配置された大学組織、技師や管理職の養成で実績のあるグランゼコール制度を加えれば、フランスは科学・技術のルーツが古くから存在して基礎のしっかりした国である。今日の我々の優れた業績はこのような長期にわたる継続的な努力の積み上げの結果である。今日のような経済危機の時代ですらフランスは研究への投資努力を維持することが出来るという事実が、フランスは引き続き科学大国であることを示している。我々の文化に根付いたものである。Q: それでもフランスはイノベーションの競争では、特に多額の資金をつぎ込む一部の新興国に遅れをとるリスクがあるのではないか。
A: 確かに多数の国で科学技術への大型投資が見られる。しかし大半の場合は遅れを挽回して知に関する社会・経済的な発展を根付かせる意志の現れであり、科学先進国がこれまで長い間やってきたことと同じである。一方でイノベーションは必ずしも科学と同類ではない。その大多数が研究業績と結びつくものではない。フランスがイノベーションにおいて最大限の力を発揮していないとしても、それが偏に学術研究界の責任ではない。この弱点にはもっと根深い別の原因もある。リスクをとる文化が弱体であること、学校制度の硬直性、中小企業の規模が不十分であること、イノベーションに対する組織的資金支援機構がお粗末なことなどである。
それだからといって公的研究が応用の見込みのある成果利用や知識移転の促進努力を免除されることはない。高等教育・研究省はそれを支援するための15項目の施策を表明しており、我々はその仕事をする。知識移転や成果利用は非常に複雑なプロセスで、今日ではすべての相手先と共同で最も適切な研究、最も役に立つ学生、適切な成果利用システムを見出すことの出来るエコシステムを創出する能力にかなり依存する。この種のエコシステムはフランスにはすでに存在するが、わが国がその優れた潜在能力から利益を引き出せるようにさらなる積み上げが必要である。 [DW編集局+JSTパリ事務所]