欧州委員会は2013年9月16日に、標記の記事を掲載した。以下にその概要をまとめる。

欧州委員会の出した通信に関する新戦略は、通信業界を調和させ、ローミングチャージを禁止し、ビジネスの面倒な手続きを省略し、ユーザーやサービス提供者に新しい権利を提供しようとしている。

26年を経てもなお、EUの通信業界は未だに分断し、国別に運営されている。その結果、欧州企業は、米国やアジア諸国から遅れをとっている。

“Connected Continent”パッケージは、ローミングチャージを廃止し、成長と仕事を生み出す新たなハイスピード・ネットワークに対する投資を促進するためのルールを簡易化することによって、EUの低迷する通信業界を活性化することを目指している。経済セクターはますますより高速な接続に頼っており、通信を単一市場化することによって、数千の仕事を創出し毎年1％近くのGDPを増加させる効果があると試算されている。具体的な取り組みはいかの通り。

○ローミングチャージの終わり
・2014年7月からEU域内での国際ローミングチャージは廃止され、国際電話についても1分間0.19ユーロの上限が設けられる予定だ。
・欧州委員会は、“ネット中立性”（インターネットはオープンシステムであるべきであるという原則）も支援する。例えば、いかなる企業も競合企業のアクセスを制限しうる高速データ通信を提供することは禁止されるだろう。

○欧州全域にわたる消費者の権利
・消費者保護の規則が完全に調和することによって、国別にサービスをカスタマイズする必要がなくなり、消費者により多くの保護が行き渡るだろう。
・EU市民は通信関連の契約の簡略化やプロバイダーや契約・解除の権利の拡大により利益を得ることができるだろう。

○面倒な手続きの省略と投資の増加
・EUは通信会社が新市場に参入するのをより簡便にしたいと考えている。このために、加盟国内での許認可はEU全域で有効になり、国境を越えた投資を計画しやすくするために、将来のブロードバンド・スペクトルの割当が標準化されるだろう。
・高速光ファイバー網への投資を促進し、4GやWi-Fiへのアクセスを保証するために、価格は安定化されるだろう。これらによって、通信分野における競争が強化される見込みだ。

○次のステップ
この提案は、EU議会と全28カ国で承認される必要がある。

[DW編集局]