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- 国・地域名:
- ノルウェー
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ノルウェー研究会議
- 元記事公開日:
- 2013/09/27
- 抄訳記事公開日:
- 2013/11/04
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北極圏にあるガスハイドレート:莫大なエネルギー源か、気候の脅威か
- 本文:
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ノルウェー研究会議の2013年9月27日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===北極圏にあるガスハイドレートは、主としてメタンから成る化石資源であり、石油・ガス資源をすべて合わせたよりも多くのエネルギーの供給源となる可能性を秘めている。しかし、ガスハイドレートには気候変動や海洋環境にどのような潜在的影響があるのだろうか。その答えは、新しく設立されたノルウェー中核的研究拠点(Norwegian Centre of Excellence)が出してくれるだろう。
北極圏ガスハイドレート・環境・気候センター(Centre for Arctic Gas Hydrate, Environment and Climate:CAGE)が新設されたことにより、10年前にはほとんど耳にすることのなかった資源であるガスハイドレートについて、基礎研究で世界初の専門家コミュニティが始動することになりそうだ。
ガスハイドレートには、凍結した水分子の「籠」の中に封じ込められ、海底下の高圧・低温状態によってのみ安定状態が保たれるメタンが含まれている。この凍結メタンはどの海底にもあるとみられるが、専門家は特に北極海の海底に豊富に存在すると考えている。
気候変動により海洋の温暖化がこのまま進めば、メタンを含んだ浅瀬にある氷が溶け出すかもしれず、そうなると大量のメタンが大気中に放出されることになる。CAGEの研究者らは、このような現象が既に起こっているのか、将来的にそれが増大しそうなのかを研究することになる。こうした新しい領域での研究から現在、将来の決断にとって重要な知識が生み出される。
ガスハイドレートは、メタンを生成する細菌が存在する海底の下に堆積している。メタンは海底付近の他の有機物質からも生成される場合があるが、その大半は海底下2,000メートルの深さでも生息可能な細菌により生成されるという説が有力である。
[JSTパリ事務所]