[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
元記事公開日:
2013/10/10
抄訳記事公開日:
2013/11/04

EU、科学と企業の「緊密なつながり」を要請

EU urges 'closer ties' between science and industry

本文:

欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2013年10月10日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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研究機関と企業の溝を埋めることが欧州でイノベーションを進め、欧州の競争力を高める鍵である。EU当局者および業界リーダーらはこのように主張している。

しかし、異なる軌道上にある研究機関と企業をいったいどのようにして近づけるのか。先週ブリュッセルで開催された第5回欧州イノベーションサミット(European Innovation Summit)でこれをテーマとする議論が熱心に行われた。

多くの科学者が「企業側に共感するのは難しい」、「異なる目標を追求すると往々にして、両者の関係が悪化しないまでも、どちらかが疎外されてしまう」と感じている。EUの首席科学顧問、Anne Glover女史は、企業と科学者との間の不信感について触れ「あらゆる利害関係者の間で信頼を取り戻す必要がある。多くの科学者は、企業は単に自分たちを商業的に利用したいだけだと思っている」と述べた。

相手に対する同様の意見は財界人からも聞こえてくる。「科学者は現実の世界を理解しておらず、研究成果の共有を渋り、プレッシャーのあるビジネスの時間尺度で働くことができない」というものである。

Glover女史は「いつまでもこのような考え方では、欧州は研究への投資から恩恵を受ける機会を逃し、欧州のビジネスは競争力を失っていくだろう」と示唆した。

欧州経済は大手の多国籍企業に支配されている、というよくある誤解が、欧州の全企業の99%以上を占める中小企業(SME)の成功を阻む数ある障害の1つとなっている。一方、急速な社会的変化により迅速な対応が求められており、これを何とか実現することが多国籍企業の課題となっている。業界のリーダーらは、欧州は知識が不足しているわけではないという信念で一致している。科学・研究を経済成長と社会福祉に資するイノベーションに転換する過程におけるギャップは、官民の関係を利用することで克服できる、と彼らは言う。

Eureka(新しい技術を用いて市場性の高い商品を生み出すことに焦点を当てたプラットフォーム)は現在、部門横断的な相互関係の構築に取り組んでいる。ノルウェー研究会議の国際ディレクター(International Director)でEurekaの議長を務めるKristin Danielsen氏は、欧州の成長を促すうえでの国際協力の重要性を強調した。

「欧州のSME(The SMEs in Europe)」イベントは、新たに修正された研究・イノベーション助成プログラム(「ホライズン2020」)の開始に向けた第5回イノベーションサミットの期間中に、欧州議会で開催された一連のワークショップの一部として行われた。

[JSTパリ事務所]