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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
- 元記事公開日:
- 2013/12/04
- 抄訳記事公開日:
- 2013/12/20
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オープン・アクセス・データの利用で、生物多様性に関する知識を確立
Building global biodiversity knowledge through open access data
- 本文:
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欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2013年12月4日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===EUが助成するプログラムにより、欧州とブラジルの生物多様性に関する研究ツールの統合を可能にするためのオープン・アクセス・プラットフォームが開発された。EUBRAZILOPENBIO(生物多様性のための欧州-ブラジル間オープン・データとクラウド・コンピューティング電子情報インフラストラクチャー(EU-Brazil Open Data and Cloud Computing e-Infrastructure for Biodiversity))は今年終了しているが、今後は特に重要な研究分野において、国際的なイノベーションとベストプラクティスの共有を促進するのに役立つものと期待されている。
21世紀最大の課題の一つは生物多様性の喪失への対策を講じることであるが、そのために欧州が負担する費用は、年間約4,500億ユーロに上るとの試算がなされている。EUの新しい研究資金提供プログラム「ホライズン2020」が、生物多様性の喪失に対して迅速かつ効率的に対処する重要性を強調しているのもこのためである。
生物多様性のもつ複雑さに対応するためには、気候学から地球科学に至る学際的なデータセットがいくつも必要となる。だがこうしたデータの多くは断片化されているため、EUBRAZILOPENBIOプロジェクトは、専用の作業環境とワークフローを確立するのに必要な時間と費用を節約することで、国際的な研究を可能にし、生物多様性の研究者のニーズに応えられるようなプラットフォームの開発を目指した。
このプロジェクトはまさに、開かれた科学的研究という概念を推進するオープンアクセス運動に沿ったもので、EUが助成する研究者が各自の研究成果を発表する場となるインフラ構築を目的として、2010年に開始されたOpenAIREイニシアティブとも足並みを揃えている。
EUBRAZILOPENBIOプロジェクトでは、i4Lifeプロジェクトで開発されたCatalogue of Lifeのクロス・マッピング・ツールの新バージョンなど、便利な研究ツールも数多く開発された。このクロス・マッピング・サービスを利用すれば、分類学者とデータ管理者は、同じバーチャルな研究環境において、自らの地域の種のリストと別の情報システムの関係を明らかにすることができる。
ブラジルの植物相の種のリスト(43,000超の種と約30,000の異名を含む)と、国際的なSpecies2000/IT IS Catalogue of Life(約250,000種の植物と300,000の異名)を検索するこのサービスでは、どのようなチェックリスト同士の比較も可能である。例えば、このツールを用いることで、一方のチェックリストにはあるものの、他方のチェックリストにはない種をリストアップすることができるのである。
[JSTパリ事務所]