[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立宇宙研究センター(CNES)
元記事公開日:
2013/12/18
抄訳記事公開日:
2014/01/30

「Gaia」衛星の主要な担い手たるフランス研究界

La recherche française, acteur majeur du satellite Gaia

本文:

国立科学研究センター(CNRS)の2013年12月18日標記報道発表の概要は以下のとおり。

2013年12月19日ギアナ宇宙センターから打ち上げられた欧州衛星「Gaia」は、400名を超える欧州科学者による約15年間の努力の成果である。フランスは各天文台およびCNRSの各研究室から約100名の研究者が当初から関わっており、最も関与の深い国である。

銀河系およびそれを越えたところにある星の距離を測定すること、それは天文学の主要な役割であるが、それが3次元となるとなおさら難しい。我々は地球から各星を天空にある平面として見ている。獅子座の星を例に取ると、10光年弱から7000光年強に至る深遠な天空に分散している。距離を測定することで宇宙における各星の正しい位置を知ることができる。

[現状]
太陽を周回する軌道上にある地球から見ると、2つの異なる時点(冬と夏など)で観測された場合、「近い」と言われる特定の星が背景にある遠い星(複数)に対して同じ場所を指すことにはならない。ただしこのような僅かな位置の移動を測定することは地上からは極めて困難である。精度を相当程度高めるには宇宙から行うしかない。宇宙では乱気流や地球の重力の影響を受けないからである。

ストラスブール天文台長のピエール・ラクルート氏の1965年以来の上記アイデアにより、欧州宇宙機関(ESA)の管轄下で初めての天文観測衛星「Hipparcos」の設計が実現した。「Hipparcos」は1989~1993年の間稼動し、118,218個の星の距離や移動を地上の50倍もの精度で観測した。

[Gaia誕生の経緯]
「Hipparcos」の大成功を受けて欧州の天文学者らは1992年以降、「Hipparcos」の50倍の精度で10億個の対象を観測すると言う遠大な目標を掲げて、ESAに対して新規プロジェクトを提案した。「Gaia」は3Dを導入することで、この21世紀初頭において天体地図の領域において革命をもたらし、天体観測データ、光度測定データ、分光学的データの繋ぎ合わせを可能にする。

[挑戦課題]
科学者らの期待は無限である。Gaiaによる測定結果は200ページに及ぶ台帳に記された数え切れないほどの応用が期待されている。Gaiaは我々の銀河系の様々な星すべてについて観測を実施する。各星の距離、動き、化学的特性、年齢を同時測定することで、我々の銀河系の構成、3次元構造、運動状況が推測される。究極の目標は銀河系を支配するメカニズムとその変遷を解明し、その起源にさかのぼって歴史を記録に留めることことにある。

[DW編集局+JSTパリ事務所]