[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2014/01/14
抄訳記事公開日:
2014/02/18

人類の生命を救う最先端技術(革新的な癌の陽子線治療技術)

Developing cutting-edge technologies that save lives

本文:

欧州委員会は、2014年1月14日に標題のプロジェクト紹介記事を発表した。以下に概要を紹介する。

ベルギー企業のIon Beam Applicationsは、腫瘍学の分野で最先端技術を開発し、商業化しつつあり、世界中の病院で使われる予定だ。その革新的な陽子線治療は、患者と治療者双方のニーズに合うよう徹底的に設計された。また、それは従来のものよりも低価格で導入や運用もしやすく、初診患者の治療時間も短くて済む。

●革新的な癌治療を支援する
欧州投資銀行(EIB:The European Investment Bank)はベルギーの多国籍企業Ion Beam Applications(IBA)による癌の診断・治療に関する研究開発事業に資金を提供した。IBAは、ルーヴァン=ラ=ヌーヴに本社を構え、世界中に1,200人以上の社員がいる会社で、欧州や米国にシステムを導入し、新興市場にも拡大している。

本事業は、研究開発イノベーション事業のための欧州委員会−EIB共同プログラムである「リスク共有金融ファシリティ(Risk Sharing Finance Facility: RSFF)」から、5,000万ユーロの融資を受けた。本プロジェクトは競争力のある知識を基盤にした経済を構築するというEUの目標にも、欧州における研究開発イノベーションを支援するというEIBの優先目標にも合致する。

● 効果的な非侵襲性治療を支援する
2010年から2013年にかけて、新製品の開発に関連した研究・開発・臨床試験・規制許可取得などが実施され、癌の診察と治療のための既存製品・設備が最適化されたり更に開発されたりした。IBAは陽子線治療に重点的に投資しており、それは非侵襲性癌治療の最も効果的な方法だと多くの人に考えられている。

高い費用とサイズのため、今日までにこういった治療を受けられる患者はほとんどいなかった。しかしながら、RSFFによる資金提供のおかげで、IBAは開発中の治療法によってその現状に変化をもたらしてきている。

●市場に手頃な解決策をもたらす
本技術の登場によって、手頃な価格の解決策が市場に生まれ、陽子線治療が世界中のより多くの病院や患者でより利用しやすくなってくる。IBAの財務担当者によれば、「内科医(医師)たちは、強度変調陽子線治療法(Intensity Modulated Proton Therapy)という最も効果的な癌治療法を患者に届ける立場になるだろう。この新しい陽子線治療システムは、導入と運用がより簡単になったというだけでなく、購入のための資金調達をしやすい金額になっている。」。

試作品はすでに開発されており、最先端技術は早ければ2015年には世界中の病院で活用される見込みだ。この技術革新によって、今後数年で多くの命が救われることになる。加えて、こうした革新的な治療法を支援することは、医療にかかる社会的コストを削減し、欧州の産業の競争力を将来的に維持し続ける助けになるだろう。

<プロジェクト詳細>
・プロジェクト名:Ion Beam Applications
・参加国:ベルギー
・総費用:1億1,800万ユーロ
・EUによる支援額:5,000万ユーロ
・期間:2009年12月

[DW編集局]