[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立宇宙研究センター(CNES)
元記事公開日:
2014/01/23
抄訳記事公開日:
2014/02/26

2050年目標のエネルギー移行シナリオの提言に関する調査報告

L'ANCRE publie ce jour un rapport d'études sur ses propositions de scénarios de transition énergétique à l'horizon 2050

本文:

国立科学研究センター(CNRS)の2014年1月23日報道発表によると、エネルギー研究統括全国連盟(ANCRE)は2050年時点までのフランスのエネルギーシステムの変化について、可能性のある3つのシナリオに関する調査報告を発表した。概要は以下のとおり。

ANCREは、2014年に予定されているエネルギー移行に関する法案準備の一環として基本的な観点をまとめるため、2012年秋にエネルギーシナリオの作成に取り掛かった。その目標は複数の道筋を対照的に定め、それらの各々について必要条件、とりわけ利用可能な技術や、社会、経済、環境にもたらす結果を吟味することであった。

上記の実行に当たりANCREは、2050年までに温室効果ガス排出を4分の1にするという目標、エネルギーミックスにおける原子力の割合を50%に削減するという政府が示した前提、今後ますます大きくなる再生可能エネルギーに向けた動き、エネルギーの節減や効率化の努力を考慮に入れた。提案された道筋は、全般および分野ごとの需要、エネルギー供給、CO2の排出を決定する要因の解析に基づくものである。これらの道筋には、エネルギー媒体間の移行などエネルギーの利用面で取り扱いに幅を持たせることおよび技術の進歩による変化が考慮されている。

提案された3つのシナリオはそれぞれ次のような特徴を持つ。
・シナリオSOB「エネルギー節減の拡大」は基本的に、エネルギー節減の促進、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの開発を三位一体化したものである。このシナリオではエネルギー効率化普及の努力と明確な行動変革が必要とされる。
・シナリオELE「電力の脱炭素化」は、エネルギー効率化の顕著な努力と電力の利用増とを一体化した考え方に基盤を置く。この場合電力は化石燃料に替えて再生可能エネルギーまたは原子力由来のものになる。
・シナリオDIV「エネルギー媒体の多様化」では、エネルギー効率化および電力利用の限定的拡大を図るが、エネルギー発生源やエネルギー媒体の多様化に重点を置く。ここでは放出熱の再利用、各所で開発される多媒体インテリジェント・エネルギーシステムの重要な役割などが挙げられる。

[結論の骨子]
ANCREによる調査結果から明らかなことは、エネルギーによるCO2排出削減目標の達成が可能としても、どのシナリオでも少なくとも3つの方面でかなりの努力が必要なことである。すなわち(規制、エネルギー価格、消費者への周知の政策適用による)行動、利用可能な技術の費用対効果の考慮、基盤構造や設備の進化の3つである。このような条件の実現にはそれ相当の投資が前提となる。

ANCREはまた、CO2排出削減目標の達成は相互補完と全体の一貫性を狙った欧州のエネルギー政策を抜きにしてはできないことをあらゆる分析結果が示しているとしている。それはネットワーク、電気、ガス産業関連の政策のみならず、研究開発プログラムにも言えることである。

マクロ経済的な効果は、国および欧州の計画において、研究開発、環境等の税制、競争力のある産業展開支援に関する統括的政策の実行能力に大きく依存する。

研究開発に関しては次の諸点に支援が必要である。
・エネルギー効率化の要となる各部分、および需要の統制
・再生可能エネルギー産業の創出および原子力や炭化水素などの成熟した産業の進歩の維持による供給側
・情報通信技術の普及によるより一層のインテリジェンスと柔軟性を目指したエネルギーシステムの最適化、エネルギーの貯留および媒体間の変換に関する技術開発
・CO2の固定、貯留、有効利用の領域
・エネルギー移行を側面支援する人文社会科学領域

報告書本文:
http://www.allianceenergie.fr/imageProvider.asp?private_resource=984&fn=Doc+complet+ANCRE+version+finale+15+Janv_0.pdf

[DW編集局+JSTパリ事務所]