[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2014/03/07
抄訳記事公開日:
2014/03/25

2015年予算教書:機会の拡大・ イノベーションへの投資

Opportunity for All: Investing in American Innovation

本文:

米政府は3月、2015年予算教書を発表した。経済成長や雇用創出、研究開発についてまとめた「機会の拡大:イノベーションへの投資」の概要は以下の通り。

経済成長と雇用創出
・先進製造…全米45か所にある製造研究所を連携させ、国内製造力を強化する。
・研究とイノベーション…疾患治療、環境保護、新技術開発などに必要な研究を支援するため、R&D税控除を恒久化する。
・開発推進インフラ…交通網などのインフラに対して4年間で3020億ドルの投資を計画。
・行政改革…より効果的、効率的、かつ経済成長を支援するためのサービスを提供できるような政府を推進。
機会の拡大
・就労者に対する税控除…勤労所得税額控除(EITC)の成功に基づき、低所得層の就労を支援する;保育費や高等教育の支払が緩和されるように中流階級・共働き家庭への税優遇を強化。
・幼稚園(Preschool)の増加…全ての4歳児に対して高品質な幼稚園を提供できるよう投資を進める。
・職業訓練…雇用者の必要とする技術を労働者身につけられるよう、職業訓練を充実させる。
財政責任
・医療保険制度コスト増を抑制…医療制度改革法(Affordable Care Act)の改革に基づき、メディケア・メディケイドを強化し、医療保険費の負担増を抑制し、ケアの質を高める。
・開発推進税制改革…富裕層の優遇を見直し、各層による等しい税負担を進める。
・移民改革…経済成長を進め、赤字を縮小するよう、総合的な改革を支援する。
・赤字削減…2024年までに赤字をGDPの1.6%まで削減し、2015年までに負債を安定させ、削減するように努力する。
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雇用創出に関してはアメリカを製造業の中心にすることで、国内雇用の拡大を目指す。
・先進製造への投資…国内での製造業への投資を進めるため、機会・成長・安全保障イニシアティブ(Opportunity, Growth, and Security Initiative: OGSI)と裁量的資金を組み合わせ、今後10年間で45か所の製造イノベーション研究所を設立する。
・セレクトUSAの拡大と海外資本の誘致…2011年に商務省内にセレクトUSAを立ち上げ、総合予算法(Consolidated Appropriations Act)で700万ドルの予算を用意したのをうけ、今後更なる拡大・増進に努める。
・製造と内部委託へのインセンティブ…国外での雇用や投資を国内に戻す企業に対して税優遇を進める一方、国外への雇用移転に対する税控除を削減する。さらに、地域経済の再生や再投資に対する税控除を行う。

クリーンエネルギーや気候変動への対応、資源管理、国家安全保障などに向けた研究開発(R&D)への投資を進める。R&D予算は1350億ドルとし、革新的な技術開発や将来の雇用に繋がるものを優遇する。2014年の成立予算を上回る予算を確保し、クリーンエネルギーに対しては OGSIに基づき50億ドルの予算を追加する。
・先進製造…中小企業が最先端の技術を活用し、競争力を強化できるように支援を行う。エネルギー省(DOE)の先進製造局に対し、3億500万ドルの予算を確保し、エネルギー効率の高い最先端の技術開発を進める。
・医療保険R&D…国立衛生研究所(NIH)が病気の原因究明に対する研究を支援できるよう予算を確保。中でもアルツハイマーに関する研究とブレイン・イニシアティブの推進を進め、9500の新グラントを用意する。
・農業R&D…バイオエネルギー、食糧安全保障、水、肥満防止、食の安全性などといった研究に対して、助成金を用意する。バイオ関連の先進製造や抗菌研究などに関する複数機関の研究を統合して支援する予定。 OGSIに基づき、新たに建設するバイオセーフティ研究機関に対する資金援助を行う。
・民間R&D推進のため、研究実験に関する税控除の恒久化…既存の研究実験に対する税控除は一時期的かつ複雑なため、有効に活用されていない。20%の控除がある複雑な申請よりも14%の簡易手続のものが選ばれる傾向にあるため、その控除額を17%まで引き上げられるように予算を確保する。また、控除を一時的ではなく恒久的にし、確実性と効果を引き上げる。

国内クリーンエネルギーへの投資を進めるため、DOEエネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)、エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)への予算を増加させる。 OGSIからは更に高効率エネルギー、再生可能エネルギー技術の開発と浸透を進めるための応用研究に対する予算が支援される。

[DW編集局]