[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
議会科学技術評価局(OPECST)
元記事公開日:
2014/01/16
抄訳記事公開日:
2014/04/11

安定的で持続可能な新たな移動手段: 環境(エコシステム)に適合した車両の設計と利用

Les nouvelles mobilités sereines et durables : concevoir des véhicules écologiques

本文:

議会科学技術評価局(OPECST)は2014年1月16日標記報告書を公表した。本報告では9項目の提言を行っているが、各提言の背景等について以下に報告書から抜粋要約して記す。

1) 異種交通手段が連携して相互影響関係にある安定的で節約志向の21世紀型移動手段を整備すること
自家用自動車は移動手段を構成する要素の1つである。その位置づけおよび発展には、新たな(環境、社会、経済、都市における)制約条件、新たな活用法、新たな移動の機会を取り込む必要がある。各々の解決策を可能にし多様なニーズに適応する活用法を考えるに当たり、選択に多様性を持たせるべく上記の整備が必要になる。

省エネ型移動手段をエネルギー移行の重点課題とすることなど15項目に及ぶ具体的提言が示されている。

2) 節約志向、快適性、斬新さ、使いやすさ、モジュール化など自動車のモデルを進化させ新たなイメージをつくること
自動車に関する古くからの積極的なイメージは、自動車に関連する制約(コスト、公害、交通渋滞)が大きくなってきたことに伴い、徐々に潰されてきている。自家用車は多くの利用面でまた一部の地域においても今なお必要不可欠であるが、新たな期待に対応する新しいイメージを創出する必要がある。「快適性」の概念はヒヤリングにおいて多数の人たちが言及している。この概念には移動手段の安定性の課題が伴う。より節約志向の移動手段に向けた移行を可能にするには、耐乏志向の視点でそれを実施するのではなく、新しい概念の車両でより魅力的にする行動を推進すべきである。

環境に適合する車両を目標とする自動車モデルの展開を、メーカーとの調整の下に、国および欧州の産業政策の重点課題とすることなど10項目の具体的提言が示されている。

3) 自動車モデルの刷新とその長期的採用の観点で、メーカーとの契約を締結すること
自動車産業はフランス経済の柱の1つである。車両の進化は自動車産業の発展に相乗的な効果をもたらすように進む必要がある。国の役割は、今日のニーズに最も適応した車両の出現に最も好ましい進化を方向付けて支援することである。公的支援は、支援可能な移動手段に向けた現行モデルの変革およびその継続的な採用を条件とすべきである。

中小の下請け部品メーカーを含む各種当事者を統合的にウォッチする業界統括ツール(自動車共通基盤)を開発しその継続活用を図ることなど12項目の具体的提言が示されている。

4) パイオニアに対しては特典(駐車、交通、税制、特別報酬)を与え、利用者には省エネ、低公害、小型の車を利用するよう指導すること
変革の口火を切るためには、積極的な役割を演じる必要がある。現状よりもより高性能の環境に適合した車の「ビジネスモデル」にそのような契機が必要不可欠とメーカー自身が考えるなら尚更である。このような契機は、車の利用者や所有者の生活を楽にする省エネ・小型・共同利用型の車を推進するパイオニアに特典を与えることで得られる。

代替エネルギー促進に関する広報をよりハイレベルで制度的に推進することなど16項目の具体的提言が示されている。

5) より的を絞った目標を立て、様々な技術オプションはオープンにして、再生可能燃料に向けた進展を優先させること
エネルギー移行の一環として再生可能な代替燃料の開発を加速させる必要がある。

エネルギー・ミックスを推進する目的でモータリゼーションのいかなる技術オプションも閉ざしてはならないなど16項目の具体的提言が示されている。

6) カーシェアリングの活用を促進すること
技術面での車の進化がどうであろうと、主要課題の1つとしてその占有方法の最適化がある。それはエネルギー効率を担保することになるが、同時に車の渋滞や駐車を減ずることにもなる。

「1台の車を2人で」という目標を「100キロメートルを2リットルで」という目標と同レベルの目標、見通し、手段で国家的に定めることなど10項目の具体的提言が示されている。

7) 国家戦略として提携して統治を行うこと
国、地方自治体、EUなど公的な当事者には、専門家との調整の下に移動手段の組織化および業界指導の推進に果たすべき重要な役割がある。8項目の具体的提言が示されている。

8) 移動手段の技術的・社会的イノベーションに関するウォッチを実施すること
変化は始まっている。したがって国内でも国際的にもイノベーションを積極的にウォッチして新たな課題に関する研究開発を支援する必要がある。8項目の具体的提言が示されている。

9) 節約志向の移動手段に向けた欧州政策を推進すること
自動車セクターを規制する規準、とりわけ自動車公害および温室効果ガス排出に関する規準は、EUによるものである。併行して自動車メーカーの取り組みはグローバル化している。したがってフランスは欧州の議論において先駆的役割を果たすと同時に、この地域規模で当事者業界の努力の最大限取り込みが可能になるようにする必要がある。

移動手段における省エネ車や再生可能エネルギーの活用を欧州産業政策の重点軸とすることなど9項目の具体的提言が示されている。

[DW編集局+JSTパリ事務所]